【第490回】 魂のひれぶりで体を禊ぐ

前回489回「次の体づくり」では、気体・流体・柔体・固体の全身の各部位に対して、これまでの体づくりとは違い、次の次元の新しい体づくりである魂のひれぶりでの禊が必要、と書いた。

前回書いたように、開祖は、気体とは自分の心身を覆う衣服のようなもの、流体は血液、柔体は肉、固体は骨などである、といわれている。これらに滞って溜まったカスを取り除いていくのである。

ひれぶりで体をみそぐ修業に入るわけであるが、これまで通り形稽古で技の生み出しをしながら、これを会得していかなければならない。

それでは、具体的にどのように魂のひれぶりで体を禊いでいけばよいか、を研究してみたいと思う。

まず、体を禊ぐ魂のひれぶりの、魂の定義をはっきりしなければならないだろう。魂の定義はいろいろあるが、私は「大神様(一元の神)の分け御霊」とする。

ひれぶりとはひびきであるから、魂のひれぶりとは、大神様の分け御霊のひびきということになる。この魂のひれぶりで、体を禊いでいくのである。

しかし、大神様の分け御霊のひびきをつかいたくても、どこにあるのかも判らないだろうし、どうすればゲットできるかも判らない。何とかしなければならない。
そこで、試行錯誤しながら、何とかして考えてみよう。

魂とは、己と離れた遠いところにあるようだが、身近に、いや、己の中にもあるようである。私は、真の心、本当の心を魂である、と考える。

心には、通常の顕界(見える世界、物質界)の心と、幽界、神界など見えない世界、すなわち精神界の心、一元の神の意思に則った心という本当の心がある、と考え、その本当の心は大神様(一元の神)の分け御霊である魂である、と考えるのである。

この本当の心と魂は同じもの、ということになるから、己の本当の心のひれぶりで、体をつかい、形稽古で技をかければ、体の禊になるはずである。

開祖は、「体と精神と共に、技を産み出してゆく。その技の中に魂のひれぶりがあればよい」といわれている。魂のひれぶりが出るためには、体と精神が共につかわれなければならない。つまり、心と声と調子で言霊をつくり、その言霊と体が共に働くようにするのである。

そして、気体・流体・柔体・固体の全身の各部位を、本当の心のひれぶり、魂のひれぶりで禊いでいくのである。

大変な修業となるだろうが、合気とは禊のわざをいうのであることを肝に銘じ、稽古していかなければならないだろう。