【第465回】  法則を教えてくれる基本技 その2.「円の動きの巡りあわせ」

前回に引き続き、宇宙の条理に則った合気道の技の法則を教えてくれる最もわかりやすいと思われる基本技を研究してみよう。今回は、「円の動きの巡りあわせ」のわかりやすい基本技として、「(片手取り)四方投げ」を取り上げてみる。

四方投げは基本中の基本技であり、誰もが容易にできる技と思って稽古していることだろう。だが、この四方投げにも重要な法則があり、この法則を無視すれば合気の技にならないし、体を痛めることにもなるのである。

合気道の技は、すべて「円の動きの巡りあわせ」でできているので、技を稽古していけば、その法則を身につけていけるわけである。中でも、「円の動きのめぐり合わせ」の法則が解りやすく、身につけやすい基本技は「片手取り四方投げ」であろう、と考える。

まず、初心者がかける四方投げを見ると、ほとんどが円の動きではなく、直線的になっている。これは、相手の陣地まで突入してしまう自殺行為である。相手の目の前に進み出てしまい、また、相手の脇を締めさせて、相手を固まらせてしまうのである。これでは、相手の空いている側の手で叩かれてしまうし、技も効かないことになる。

四方投げは、いくつかの円の動きの組み合わせで技ができている。ここでは片手取り四方投げの例で説明してみよう。

  1. まず、自分の腰を支点とした円である。持たせた手先から先に動かすのではなく、まず腰腹から動かすのである。腰腹を十字につかうことで、円の動きをつくるのである。これをやらずに、手先から動かしてしまうと、先ほどいったように直線的になり、相手の領域を侵してしまうことになる。
  2. 次の円は、足の十字からの円である。足を撞木(六方)につかい、そこに体を載せるのである。腰腹だけでは大きくて強い円はできないが、足をつかうと、体重をつかうことができて、強力な力がでる。
  3. 手も、円の動きでつかわなければならない。手の円の動きには、縦と横の二つの円がある。一つは、1.とも関係するが、腰を支点としての円、さらに肩を支点とした円、肘を支点とした円、手首を支点とした円と、横の円の動きがある。
  4. 横の円の動きに対して、縦の円の動きがある。手を上げてギンギンギラギラをする手の動きである。縦・横・縦と十字に返すことによってできる円の動きで、円い動きは十字からくる。
  5. もう一つは、息である。これも円くつかわなければならない。つまり、十字につかうのである。縦の息を腹式呼吸、横を胸式呼吸でつかうのである。
四方投げは、これらの「円の動きの巡りあわせ」がないとうまく効かない。また、その法則を最もよく教えてくれる基本技である、と考える。

片手取り四方投げで稽古をして、合気道の技が「円の動きの巡りあわせ」の法則に則っていることを悟って、身につけていくのがよいだろう。