【第459回】 竹本住大夫語録

年配者のいうことには、含蓄があるものだ。とりわけ事を成し遂げた80歳以上の方の語ることは、生きる知恵や教え、鼻をへし折られるような戒めや諭し、生きるすばらしさ、生まれてきたことや生きていることの不思議さ、などなどを教えられるすばらしいものである。

昨年5月、浄瑠璃の大夫を引退された、人間国宝の竹本住大夫さんが『人間、やっぱり情でんなあ』(文芸春秋刊)を出版されたので、読ませてもらった。人間として、また合気道家としても、いろいろと教えられ、合気道を志す人にも大変参考になると思うので、内容を紹介してみよう。

なお、私の本の読み方は、読みながら面白いところ、大事な箇所に赤線を引いていき、一度読み終わったら、その赤線部分をもう一度読むのである。今回は、その赤線箇所で、合気道修業に関係あるところを紹介することにする。順序は本のページの順序であるので、脈絡に関連性はない。

万有万物は宇宙完成のために分身分業で使命を果たそうとしている、ということがよくわかるし、合気道の修業ももっともっとまじめにやらなければいけない事を教えてくれる本であった。