【第38回】 螺旋で動く

合気道の道場稽古で片手取りの技をやると、その手をしっかり握られて動けなくなったり、また、逆に握られている手を離されたりして、思うように技ができなくなることも多い。合気道は呼吸力や引力の養成とも言われるので、動けなくなったり、離れてしまうのは問題である。相手の持っている手は、自由に動かせ、相手が離そうとしても離れないようでなければならない。

しっかり握られて動けなくなったり、相手の手が離れてしまう最大の原因は、手を引っ張ってしまうからである。引っ張るというのは、手先と腹が結ばずに、直線的に手先から動かして、力を肩に引っ掛けてしまうことである。直線的な動きはロボットの動きのようで不自然でもある。

開祖は「真の武道、合気道は宇宙のいとなみが自己のうちにあるのを感得するものである。」といわれている。また、「宇宙の動きは、右に舞い昇り左に舞い降りるみ振舞の摩擦作用の行為により日月星辰の現われがここにまた存し、宇宙全部の生命は整って来る。タカアマハラのラの一言霊が六言霊を悉くふくめて天底から地底へ、地底から天底へ、らせんを描いて常に生命をたどっているのです。」(「武産合気」)ともいわれている。

つまり、自然の動きはらせんであるから、手の動きもらせんで使うことであろう。ただ合気道の動きは反転々々なので、手の動きは90度回転し、また90度で反回転することになり、反転々々の螺旋の動きになるだろう。

この宇宙のいとなみに合致する螺旋を使うと、持っている相手の手のDNAに働きかけ、相手の手と共鳴し、自由に結んで動かすことができるようになるのではないだろうか。

「合気とは解けばむつかし道なれどありのままなる天のめぐりに」(開祖道歌)