合気道は形稽古を通して、技の練磨をしていく。技の練磨というのは、宇宙の法則である技を見つけ、試行錯誤しながら身につけていくことであるが、なかなか容易ではない。
だから、指導者や先輩は、急がずにゆっくりやりなさいという。しかし、ゆっくりやるのは、口でいうほど容易なことではないのである。
初心者が技を使う際に、ゆっくりやろうとしても、たいていは動作の一部しか通常より速度を落としてやれないものだ。初めから収めまでゆっくりやることができず、とちゅうで動きが止まったり、切れてしまったりする。確かに通常よりも時間はかかっているかも知れないが、これは、ゆっくりやっているとはいえないのである。指導者や先輩が意味する「ゆっくりやる」とは、そういうものではないはずだ。
合気道は武道であるから、いかなるときにも隙があってはならないし、技の威力を削ぐようなことがあってもならないはずである。つまり、ゆっくりやっても、どこにも隙がなく、威力は早くやるのと変わりがないものでなければならない。
技の威力を損なわずにゆっくり動くためには、次のことが必要であろう: