【第342回】 手先と腰を結ぶ

技の練磨を相対でしていく合気道は、技は手でかけるから、手とその使い方が大事である。手の大事さに気がつかないうちは、まだ初心者の段階にあるといえよう。

この大事な手とは、7つの関節が互いに自由に十字に動くようにできているが、技をかける際には折れないようにすることである。手は柔にも剛にもなり、相手をくっつけたり、弾いたり、自由自在にできて、強力な力が出せるものでなければならない。

手の使い方は、まず手と腰と結び、腰からの力によって、腰で操作して手を十字に、そして螺旋に、使わなければならない。手が折れてしまったり、腰からの力でない腕の力で技をかけても、大した力は出ないものだ。

しかし、手先に腰からの力を伝えて、その力を使うのはなかなか難しい。その理由にはいろいろあるが、まず、手が十分できていないことがある。

手をつくるためには、自分で手の関節をほぐして柔軟にしたり、抑え技の受けを自分の限界ぎりぎりまで取ることである。これは誰でもできることだろう。どれだけできるようになるかは、やるかやらないか、そして、どこまでやるか、による。手ができなければ、先へは進めないだろう。

手がある程度できたら、手先を、十字で螺旋に使うようにしなければならない。だが、これも難しいことである。腰からの本当の力を出すためには、肩が貫けていなければならないからである。肩が貫けない状態で手を使うと、腕だけの力を使うことになってしまう。

肩を貫くためには、以前にも書いたことだが、手を肩のところで縦、横、縦と、十字につかわなければならない。手を上(縦)に上げたら、上がったところで今度は脇を開き(横)、さらに上へ(縦)上げれば、肩のロックが外れて、肩が抜ける。すると、手はさらに上がるのである。慣れてくれば、手を上げないでも、手を出したり、相手の手を握っても、肩を貫くことはいつでもできるようになる。

肩が貫けると、手先と腰が繋がりやすくなるので、腰からの力を手先に伝え、腰で手先が操作できるようになる。それが分かるのは、最適な稽古法として「正面打ち」と「横面打ち」の徒手や剣の素振りだろう。

これは以前に紹介したことだが、これによって手先と腰が結びやすくなり、腰の力で手を使うことができるようになる。さらに、手先と腰をしっかり結びつけ、腰からの力を効率よく使う稽古法を紹介する。

それは、「坐技呼吸法」であるが、次のように稽古すればよいだろう。

「坐技呼吸法」で手先と腰を結んだ稽古ができれば、同じように「諸手取呼吸法」でやってみるとよい。そして、片手取り、正面打ちと進めていけばよいだろう。