【第335回】 折れない手

合気道は相対で技をかけ合いながら、技を身につけ、そして体をつくっていく。しかし、技は容易に身につくものではないし、体も技が見につく程度にしかできないわけだから、時間がかかるだろう。

技も体もこれでよいというゴールはないのだから、焦らずにこつこつと稽古をできるだけ長く続けていくしかない。

だが、稽古は長く続ければよいということにはならない。上達するには、技を身につけ、体をつくるように、稽古していかなければならない。目的意識、目標をもって稽古をし、少しでもその目標に近づくように、稽古していかなければならない。

惰性で稽古したり、やりやすいこと、得意なことだけをやっていると、上達はないだろうし、場合によっては体をこわすことにもなる。

上達するためには、宇宙の法則に則った技を身につけていかなければならない。そのためには、技が身につき、技をつかえる体をつくらなければならない。その体をつくるためには、宇宙の条理に合った体の使い方をしていかなければならないことになる。

相対稽古で技をかけてうまくいかない理由はいろいろあるが、そのひとつに、手(腕)が折れてしまうことがある。手が折れてしまえば、腰からの力が折れたところで止まってしまうので、力が手先まで届かず、技がかからないことになってしまう。

しかし、手が折れているのを、折らないように注意しようとしても、なかなか直せないものである。手が折れてしまうことの原因はいろいろあるため、折らないようにしようとしても、容易にはできないのである。

では、技をかける際に手が折れる原因にはどういうものがあるのか、そしてどうすれば折れないようになるのか、その<解決法>を見てみよう。