【第32回】 手足の連動

手の動きは頭にあるといわれているが、そうすると手と頭は繋がっているのだから、手を上手く使うには頭で考えればある程度は出来ることになる。
しかし、足の動きは頭で考えてもなかなか上手くいかないものである。足の動きは何度も々々も繰り返して練習するほかはないようである。

その上、合気道では手と足が連動して働かなければ技はうまく決まらない。正確に、手と足そして体が連動しなければならないのである。稽古で技を掛けるときも受身をとるときも、そのことを意識してやらなければならないのだが、左右の手を連動(左右対称)するだけでも難しく、手を考えているうちに足が居ついてしまい、手足の連動どころではないのが一般的だろう。

手足を連動して使うためのいい稽古法の一つに、杖の素振りがある。
はじめは複雑なことをしないで、突き、左右横面打ち、左右下段打ち、そして突きに戻る5つの動きを繰り返す。つまり、突きのときは通常は左構えなので、左手と左足が前になり、まず、左手と左足を進めて突く、突いたらすぐ右手右足から後退し面をカバーしながら、手を上下持ち替えて(二教の杖の場合は持ち替えない)右足を進めながら右手で相手の横面を打つ。即左足を後退して面をカバーし、重心を右足に移してから左足を進め、持ち手は変えずに相手の左横面を打つ。打ったら杖をそのままストンと落とし、持ち手を変えて右足を進めて右手で下から切り上げ、即左足を引き、右足に重心を移動した後、下になった杖先を左手で相手の脚か脇腹を打ち、そして杖を返してはじめの体勢にもどる。
これで、手と足それに体が常に連動して動くことになる。

なお、連動がうまくいく重要なポイントとしては、杖を反転々々と回転させながら使うことである。

この杖を使った手足の連動稽古ができると、杖がなくとも杖をもっている時と同じ動きができるようになり、普通の稽古でも手と足が連動して動けるようになるはずである。