【第279回】 柔 軟 体 操

技の練磨で精進する合気道は、体によい。体によいことのひとつに、体の節々のカスが取れることがある。カスを取るというのは、体を遣うことによって筋肉を動かし、筋肉に弾力性や柔軟性を持たせ、筋肉や関節が動きやすくなるように、余分な脂肪や肉を除いていくことであろう。

入門前は固くて柔軟性のなかった筋肉が、稽古と共に弾力性と柔軟性がついてきて、丸みを帯びてくるものである。だから、どれだけ稽古をしているかは、例えば手首を持ってみるとほぼ分かるものだ。

筋肉や関節は弾力性があって柔軟性がなければならない。だから、そうなるように稽古をしていかなければならない。合気道の稽古をやれば、何もやらないよりはそれなりにできていくが、やり方によっては思うように柔軟にならなかったり、場合によっては逆に固めてしまうことにもなる。

筋肉や関節を柔軟にしていくのは、技の稽古を通していくのがよい。特に、初心者のうちは、受身で力まず、気を抜かずに、力を抜くようにやるのがよいだろう。また、最後の抑えまできちんとやることである。特に、一教、二教、三教、四教、五教の抑え技は、最後まできちんとやらないと、筋肉も関節も柔軟にはならない。

相対稽古で不十分なら、自主稽古での柔軟体操が必要になる。筋肉や関節を柔軟にするためには、法則に則った遣い方、及び鍛錬が必要である。ただやればよいというものではない。

その法則を幾つか紹介する:

柔軟体操でこれがしっかりできれば、相対稽古で技を掛ける際にも、体の遣い方と息のつかい方ができるようになるはずである。たとえば、息と合わせて体をつかう、手を十字につかう、重心が落ちている足の反対側を上げる、主体的と補助的に働く部位を正しくつかう(例えば、小手返しで相手の手の甲を掴んでいるのが主体で、反対の手は補助の手)、などである。

柔軟体操も技つかいも同じといえるから、柔軟体操をしっかりやれば、技つかいもうまくなるだろうし、場合によっては技稽古をするよりも効果があると考える。
柔軟体操を見直し、さらに体を柔軟にすると同時に、技に活用してもらいたいものである。