【第23回】 自分を信じる

合気道は、基本的な型はあるものの、技の使い方は人の数だけ違うといわれる。人は一人として同じ人はいないし、やり方も違う。

人は長所と短所をもっているが、その長所がある場合は短所になり、また、短所と思われたところが長所になったりする。また、自分の技が人によってかかったり、かからなかったり、また、かかり易かったり、かかり難かったりする。合気道には試合が無いこともあり、どのやり方が正しくて、どのやり方が間違っているということもなく、自分に合った、自由で、個性的な稽古ができる。

だが、稽古を始めると、誰でも問題の壁にぶち当たる。初めのうちは薄いのだが、段々と厚い壁になるものだ。
しかし、問題意識をもたないでやっていれば、その壁に気がつかないまま、壁をよけて行くので、そこで進歩は止まってしまうことになる。

まず、壁になる問題意識をしっかり把握し、その解決に集中しなければならない。壁が厚くなればなるほど、その解決にはより多くの時間と努力が必要になる。しかも、ある時点までは、どうにかそれまでの壁を一つ々々破ってくることができても、ある時点からはその壁が容易に突破できなくなる。

突破のための解答は、その問題を考えに考え抜くことで出てくるものもあるが、別なことをやったり、のんびり歩いたりしているときに出てくることも多い。これは、問題意識をもって悩んでいると、その問題を考えていない時でも、常に無意識的活動が行われているからのようである。無意識の世界は、意識の世界の数十倍の力をもつという。意識で考えるだけでなく、無意識もまたその問題に挑戦しているのである。自分を信じて問題から逃げずに、壁を打ち破っていこう。