【第216回】 骨粗しょう症

年を取って来ると体は少しずつ痛んでくる。60年、70年と使ってくればガタがくるのは不思議ではない。
しかし問題なのは体全体が、一度に同時に駄目にならないことかもしれない。一度に全部が痛んで駄目になれば、それで諦めがつくだろうが、体のガタは体のほんの一部なので、そこを修繕したり、パーツを取換えていかなければならないわけである。
現実がそうなのだから、体の一部でも故障しないように注意し、故障すればそこを修繕し、体と仲良くつきあい、使わせてもらっていくほかないだろう。

体のガタのひとつに、骨の密度が少なくなり、スカスカになる骨粗しょう症という病気がある。骨がもろくなるので折れやすくなるのだ。
年を取ってくればある程度仕方がないだろうが、それが度を超すと問題になる。
人の体質にもよるが、つまり遺伝子であるが、その他にもその原因やその症状を悪化させるものがあるといわれる。
それは運動不足と栄養不足であるという。

宇宙飛行士が心配しているものに、この骨粗しょう症である。宇宙を飛んでいれば自分の体重を支える大地がないので、骨に重力が加わらず骨がもろくなってくるというのである。

骨に重力が加わると、骨の中の骨芽細胞が刺激され、重力を感じとり、コラーゲンが増し、骨が柔軟になるのである。
つまり、骨を柔軟にするためには、骨に重力をかければいいわけである。
合気道の稽古は、その意味で理想的である。背骨だけでなく、指先までの上肢、爪先までの下肢と体全体の骨に重力をかけて稽古ができるからである。更に、自分の体重だけでなく、相対稽古の相手の重力も加えることができるのである。受け身をゴロゴロ取り、技をしっかり掛け合えばコラーゲンが増えて、骨は柔軟になるのである。骨に重力を掛けるつもりで稽古をしてみるのもいいだろう。

骨粗しょう症を予防するには、食べ物も大事であるといわれる。
ビタミン6、ビタミン12、葉酸(ようさん)をとることである。
ビタミン6は、まぐろ、かつお、大豆など、ビタミン12は、さんまやイワシの青魚、葉酸は青菜に多く含まれるという。これらをバランスよくとることだろう。

重力を感じる稽古をし、ビタミン6、ビタミン12、葉酸を取っていけば、骨粗しょう症のくるのを遅らせ、稽古も長く続けることができるのではないだろうか。