【第183回】 宇宙生成化育と人類

宇宙は137億年前に出来たといわれるが、何かに向かって進んでいる。それを開祖は、宇宙の生成化育といわれ、そのために人類が創られたという。人類は、宇宙生成化育のお手伝いをすべく誕生し、生かされているようである。

そうすると、人類一人一人は各々使命を帯びていることになる。一人一人がその使命を果たすことによって、宇宙は生成化育していくわけである。

それ故に、世の中は人の使命のパッチワークで織りなされているとも言えるのではないだろうか。もし、欠けた部分があれば、誰かがそれを自分の使命として、そこを埋めようとし、そこを埋めてくれた人を、他人(ひと)は評価するわけである。大事なパッチワークの部分を埋めた人には、ノーベル賞とか金メダルが贈られるわけである。また、恐らく宇宙が存続する限り、その人の功績は残り、後進に引き継がれていくことになるのだろう。あとどのくらいで宇宙が完成するかわからないが、このようにして少しずつ完成に近づいているはずである。

世の中はパッチワークのように覆われ織り込まれている。ということは、人はみんな一所懸命に精一杯生きているということになる。本人たちは気が付かなかったり、意識しないでいるが、人は例外なしに、出来る範囲で精一杯頑張っているといえる。しかし、成功して満足している人もいれば、不運にも思うようにいかない人もいる。それでも精一杯生き、宇宙生成化育のお手伝いをしようとしている。失敗しようが、成功しようが、宇宙生成化育にお手伝いできたと思えれば、その人は満足できるはずであり、名誉や金を得て成功したとしても、宇宙生成化育に役立たず、それを妨害するようならば、心のどこかで不満の声がするのではないだろうか。

合気道の稽古に来ている人達も、みんな精一杯稽古をしている。恐らく、無意識のうちでは、宇宙の生成化育のために稽古をしたり、稽古で培ったものを世の中に伝え、宇宙の生成化育に役立ててもらおうとしているはずである。もしそうでなければ罰があたり、怪我をしたり体を壊したりすることにもなりかねないのではないだろうか。

合気道の修行でも自分のパッチワークを織り、宇宙生成化育のお手伝いをしているという自覚が持てれば、自分は幸せな、そして充実した人生を送れたと思えるのではないだろうか。自分のパッチワークを後進に、そして宇宙生成化育に残したいものである。