【第181回】 方程式

昔のことはよく知らないが、明治生まれ、大正生まれの人達なら多少は知っているし、写真や小説からも少しばかり知識があるわけだが、その範囲の中で、当時の人達と今の人を比べてみると、型にはまった人間が増えているように思える。

体形はともかく、服装もほぼ同類、考え方も余り違わないようであり、一見して、その人の考え方ややり方が想像できてしまう。それに、将来この人がどうなるかもほぼ見当がつくようで、もういちど会ってみたいと思う人は稀である。時代とともに、人間は画一化される方向に進んでいるように思える。

その人がどんな人になるのかを、方程式で計算できるとしたら、変数によって結果が違ってくることになるだろう。この変数がその人の属性であり個性ということになり、これがあるから人生面白いわけである。これが大きければ1年後、10年後の自分がどのようになるかの予想が難しくなるから、自分にとって面白いだけでなく、他人も楽しみにしてくれるだろう。そして、その人がそれからどう変わったのか知りたくなり、会ってみたくなるというものだろう。

変数となるのは、自分のやりたいと思うことや、やるべきだと思うことを、やることである。これを否定したり、無視すると、変数は0(ゼロ)となってしまうことになる。

自分の本当にやりたいことを見つけて、それをやれば、変数はどんどん大きく変わっていく。また、一つのことを深くやっていくと、興味がどんどん増えてくる。すべてのものと繋がってくる。毎日が充実してくる。1年後、5年、10年後の自分が楽しみになってくる。前の方程式は、書き変えられていくことになるだろう。変数が∞になれば最高だ。

一次方程式で、自分の将来が予想できてしまうようではつまらない。明日の自分がどう変わるか、10年後の自分がどうなるのか、予想もつかないような生き方が出来ればよいのではなかろうか。