【第16回】 指先

長い間、稽古などしないで体を動かさないと指先の機能が低下する。ボケなどのはじまりや兆候も、よく指先に表れるようだ。
昔の人はそれを知っていたようで、ボケないようにコヨリを撚ったり、くるみを指先で動かしたりしていた。

指先に気が通っていなければ合気道の技は思うように使えない。しかし、よほど注意し、また意識して稽古をしないと気が手首のところまでしか到達せず、指先がだらっと死んでしまうだけでなく、気を通そうとしても通らないで指が曲がってしまうものである。指先は小手から指先までが一直線にならなければいけないし、朝顔の形でも各指がまっすぐできれいな朝顔が咲いた形にならなければならない。開祖の指先は美しい。(写真)

指先まで気が通って、真っすぐな指先になるようにするには、指先に力と気を集中する稽古をすることである。例えば、一教の最後の押さえのとき、いい加減でやらないで、しっかり指先に力を入れて相手の腕をおさえる、また、二教や四教で相手の手をしっかり絞り込むなどである。合気道は、稽古をきちっとやれば体の各部が生きるように出来ているようだ。
また、指先を使うと指先まで血行を促進し、運動能力を高め、脳の血行もよくなる。指先を稽古で鍛えよう。