【第127回】 宇宙の進化

合気道は神習いであり、宇宙を造られた一元の神、そして、そのポチもなかった大虚空時代まで遡って研修しなければならないといわれている。宇宙のはじめをポチ、一元の神、アメノミナカ主の神といわれる。科学の世界でも、宇宙の初めはポチが爆発したビッグバンであるという。

宇宙の初め、世の中のはじめは何となく分かるが、それではこの宇宙は何処へ行こうとしているのであろうか。

開祖は、「宇宙は秩序正しき一家の如く、また一大巨人の如く、ますます完成に至大無限、至小無内無終に、照り輝いているのであります。過去・現在・未来を運化とともに胎蔵しているのであります。そしてますます無限に人類も千古の昔、過去・現在・未来を胎蔵して、進化成長の道として、世界万有人の一声に統べられる天の運化であります。ときすでに吾人のうえに至仁至愛の世は進んでいるのであります。」と、秩序ある一貫性をもった総体としてへの完成へと向かっており、過去・現在・未来を胎蔵しながら、仁と愛に向かって進んでいると言う。

哲学者、未来学者で、過去ノーベル平和賞にもノミネートされたことのある、ハンガリー生まれのアーヴァン・ラズロ博士は、彼の著書『生ける宇宙 − 科学による万物の一貫性の発見』の中で、現在の科学の最先端で注目に値する一つの洞察を次のように紹介している。「宇宙は、その中に存在するすべてのものと共に、生物にも似た一貫性を持つ一つの総体をなしている。宇宙に存在するすべてのものは互いに結びついている。ある場所で起るすべてのことは、ほかの場所でも起る。あるとき起るすべてのことは、ほかのすべてのときに起る。そして、かって起ったすべてのことの痕跡は、消え去ることなく永らえる。今日ここにあっても明日は消えてしまうような、完全に無常なものなど存在しない。」

またラズロ博士は、「宇宙は、機械というよりもむしろ生きた生命体に似ている。それは、過去から現在までの進化を基盤とし、その上に立って、現在から未来へと進化する。その論理は、生命の論理にほかならない。つまり、相互結合性と相互作用を通して、一貫性と全一性へ向かって進化するのである。」という。

合気道の創始者である植芝盛平翁も最先端の科学者達も、宇宙は過去・現在・未来を胎蔵しつつ進化成長し、一貫性と全一性をもって、あるものに向かって進化しているという。宇宙と小宇宙である人間、また地球とそこにある生き物(写真)も、何かに向かって進化しているということは確かなようだ。しかし、まだ何に向かって進化しているのかは明確にはなっていない。さらなる研究が必要なようである。

参考文献:
 『生ける宇宙 − 科学による万物の一貫性の発見』アーヴァン・ラズロ著)