【第119回】 時の流れは早いが・・・・

時間が経つのは早いものだ。60歳を越えると、時の流れはますます速く感じるようになってくる。一年があっという間に過ぎていくようだ。子供の頃は、時間の流れはゆっくりしていたし、時として、遠足やお正月などもっと早く時間が経ってくれないものかと、いらいらしたことを覚えている。

人は25歳を過ぎると、時の流れの早さをどんどん早く感じるようになることを、数学の方程式で証明した学者もいる。年を取れば取るほど、時間の流れに対する感覚はどんどん早くなることは事実なのだろう。

時はアッという間に過ぎていくが、それでも人はいろいろなことをやっている。知らないことを知ったり、出来なかったことができるようになったり、解けなかった問題を解いたり、また嫌なことや不必要なことを忘れたり等々、意識するしないは別にしても、いろいろなことを経験している。

あっという間に過ぎた自分の一年を振り返ってみても、結構いろいろな変化があったことがわかる。私は論文を毎週4編書き続けてきたが、これを見返してみると、この一年間でいろいろな発見があったし、分からなかったことが判ったし、新しい「業」の発見もあり、結構沢山の新しい経験をし、変化があったことに改めて驚かされる。

あっという間に過ぎる一年であっても、多くのことをやったと思えるためには、ひとつの事をやり続けのが分かり易いだろう。例えば、絵画、書道、踊り、武道、スポーツ等々である。合気道などはそのために最適である。今と一年前を比べ、一年間を振り返れば、いろいろ違ってきていることが分かるはずである。これが進歩、上達であるはずである。この一年で進歩があったという実感が持てれば、次の一年もあっという間に過ぎてしまうにせよ、進歩、上達がまた期待できるだろう。進歩、上達が期待できれば、稽古を続ける意味がある訳で、ますます精進しようとすることになるだろう。

時の流れの早さは最早、変えることはできないだろうが、それは認めて、自分の「道」を一歩一歩進んでいけば、短くなる時間の中でも結構いろいろな収穫はあるはずである。時の流れの早さを嘆いていないで、自分の「道」を進むことである。そして、子供の頃のように、時が更に早く流れることが望めるようになれば素晴らしい。90歳、100歳の自分を見たいものではないか。

90歳、100歳で自分がどこまで変わることができているか、時の更なる流れの早さを望むようになりたいものである。