【第117回】 ヒラメキを大切に

合気道の稽古をやっている内に、こうした方がいいとか、これは正しくこれは違うとか、これはこういうことだったのか等と分かってくるものだ。しかし、分かろうとしても、必ず期待するようにわかるわけではなく、突然、思いもよらぬ時に分かることが多いのである。

そのようなヒラメキが何処から来るのか、不思議である。ノーベル賞などのような新しい考え、文筆家のうつくしい文章、科学の新しい発見、珍しい情報などなどは、人知を超えたヒラメキからのものではないだろうか。

地球上の大気や宇宙には、人間が必要とする情報が充満していて、宇宙から必要なものがヒラメキとしてやってくる。これは大事なものだよと、人類に与えようとしているような気がする。

ヒラメキとは異次元の時間と空間からの突然のメッセージであり、宇宙からのメッセージで、創造的、建設的なサポートをしてくれるもののようだ。自分が合気道を始めたのも、海外渡航をすることになったのも、ドイツで女房と結婚したのも、ヒラメキと偶然によるものであったと言える。そして、そのヒラメキを実行したことにより、何かに導かれ、助けられてきたと思えるのである。

年を取ってくると、物事がおっくうになってくる。何かを建設的にやろうとか、何かをやろうと決心するのが面倒になる。そうすると頭も体も眠ってしまい、ヒラメキも得られなくなってしまうだろう。

60、70歳で体も頭も使わないのは、もったいない話である。人は125歳ぐらいまで生きることができるといわれているのに、まだ半分ぐらいしか生きていないのだ。経験と知識を蓄えて、知恵もつき、社会の束縛が弱くなる60,70歳から、本当の自分の人生が送れるのではないだろうか。そこで、人生の後半はヒラメキを大事にして生きてみてはどうだろう。あれがおもしろそうだとか、あそこに行ってみたいとか、あの本を読もうかとか、これに挑戦してみよう等々、閃いた時には、億劫がらずに素直にそれに従ってやってみることである。

合気道の稽古でも一生懸命やっていれば、いろいろなヒラメキがやってくるはずである。そのヒラメキが、上達するための貴重な情報を提供してくれるようだ。またそのヒラメキを実効すれば、何か大きなチカラが見守り、支援してくれるはずだ。ヒラメキがあれば、行き詰ったり、やる事が無くなったり、壁に押しつぶされることもないだろう。自分を信じ、そして自分が受けるヒラメキを信じて、大きなチカラ(something great)を信じて稽古を続けていけば、次のステップへ進むことが出来るはずである。