【第116回】 支点を動かさない

合気道で技を掛けるときは、相手と接している支点(接点)を動かしてしまうと上手くいかないものだ。自分の力が逃げてしまうし、相手を離したり、逃してしまうことになる。支点を動かさないで、その対極を使わなければならないし、また足を遣わなければならない。支点を動かさないためには息遣いも大切である。息を吐くのではなく、息を体に入れていかなければならない。息を吐くのは相手との接点(支点)を離すときである。

支点を動かさないような稽古、体づくりをする稽古には、次のような合気道の「わざ」(技と業)をするのがいいだろう。

1.逆半身片手取転換運動(写真)
2.同 四方投げ
3.正面打一教
4.同 入身投げ
5.同 二教(小手回し)
6.胸取二教
7.胸取りからみ技
8.天地投げ
9.後片手取り首絞め
10.諸手取り呼吸法
11.座技呼吸法

これらの「わざ」は、支点を動かすと上手くいかないということが分かり易いものであるし、支点を動かさない体と動きを作るのにいいと考える。またこの技で支点を動かさないようになれば、他の技でも支点が動かなくなるという基本「わざ」ともいえるだろう。

一つの技を収めるために、支点は一箇所ではない。支点は左右、陰陽と変わるわけだが、その都度、その支点を動かさず、対極を遣うのである。従って、腹、腰、胸、肩、足などの体の各部が、自在に動かなくてはならないことになる。