【第115回】 足遣い

合気道で技をかけるとき、初心者は手で掛けてしまう。手さばきの「わざ」は、相手を納得させないだけでなく、争いのもとになってしまう。合気道の技は、相手を倒すだけではなく、相手の闘争心を完全に失くすものでなければならない。開祖は「真の合気道は、相手を倒すだけでなく、その相対するところの精神を、相手みずから喜んで無くするようになさなければならないのです。」と言われている。(合気道新聞 No.75)

合気道の技を掛ける上で大切なファクターの一つに、「接点を動かすな」というのがある。相手との接点は手となることが多いので、接点の手を動かさないで相手を倒すためには、どうしても足を遣わなければならないわけである。足を遣えば自分の体重を有効に使えるし、地の力(抗力)も使え、相手に余り違和感を感じさせずに倒すことができる。技は足で掛ける、と言えるだろう。

足を上手く遣うためのポイントは、まず居つかない、左右陰陽で規則正しく遣う、足に体重をのせる、地の力を遣うなどである。そのために相応しい稽古として、次のような稽古方法がある。

1.歩行練習
2.膝行
3.(一人)入身転換運動
4.正面打入身投げ表・裏
5.正面打一教裏(立ち技、坐り技)
6.片手取四方投げ
7.片手取回転投げ
8.後両手取小手返し
9.天地投げ
10.半坐半立片手取四方投げ
11.突き入身投げ(写真)
12.座技呼吸法

この稽古で大切なのは、手でなく足で倒すことである。はじめは難しいだろうが、足に意識をいれて、足に目をつけるようにやればいい。すぐ出来るわけはない。焦らず少しずつ身につけ、体をつくっていけばよい。

参考文献:「合気道新聞」 No.75