【第1013回】 技術の二面性

テレビを見ていると日本の初飛行の事が紹介されていた。
日本の動力付き飛行機による初飛行は、1910年(明治43年)12月19日に陸軍の徳川好敏(写真)と日野熊蔵によって東京・代々木錬兵場で成功したとある。

飛行機を飛ばした人たちはいうに及ばず、それを見た人も感動しただろう。長年にわたって夢みてきた、鳥のように空中を飛ぶ事ができるようになったのである。これで何処へでも早く、快適に移動でき、素晴らしい世の中になると期待しただろう。そして大正11年(1922年)、民間パイロットの後藤勇吉が乗客3人を乗せて岐阜〜東京を飛行、日本初の旅客飛行となったという。
しかし、1910年の初飛行の翌年1911年には軍用機「会式一号機」が軍用として日本で初めて製作された国産機とされ初飛行したという。

ここで分かったことは、技術の発達には二面性があるということである。飛行機の場合も、便利と危険、喜びと苦しみ、和合と争い、平和と戦争等である。
技術とは科学技術である。この発達は飛行機だけでなく、自動車、船、ロケットでも同じ二面性を持っている事になる。一見素晴らしいと見えるかも知れないが、その裏には必ず別な面が潜んでいる。
二面性とはいい面と悪い面があるということである。いい面とは、合気道で謂う、地上楽園建設に役立つ事であり、悪い面とは、それを破壊したり、邪魔するものであるといえよう。

さて、合気道である。合気道は技を練って精進する武道であるから技は重要である。合気道は武術でもあるので、合気道の技は、技と術で構成される技術と考える。故に、合気道の技にも二面性があることになる。つかい方によって平和な世をつくることができるが、反面、社会や人を害する凶器ともなるわけである。
合気道の修業者はこの二面性があることを知り、そしてネガティブな面が出ないように修業を続けていかなければならないことになる。

技術の進歩は止まらないし、誰も止めることはできない。出来ることは、ポジティブな面が出るようにし、ネガティブな面が出ないようにすることである。合気道の修業に終わりがないということもこの技術の進歩に終わりがないことと関係しているはずである。技術の進歩によって地上楽園建設のお手伝いをしたいものである。