【第1010回】 かたちを大切にする

60年以上合気道の修業を続けているが、形の大事さを改めて実感している。合気道の形といえば、まず合気道の基本技だろう。一教、二教、三教、四教、入身投げ、四方投げ、小手返し等である。これらの技の形を大切に、つまり正確につかうことである。
しかし、技の形を大切にするとはどういうことなのかがよくわからないはずである。精々、先師や指導者が示す技の形に近づけ、違わないようにするということぐらいだろう。
初心者はこれでいいし、また、それしか出来ないはずである。昔から、「習い事は真似から始まる」と云われ、新しいことを学ぶ際に、模倣することが第一歩であるからである。また、日本語の「学ぶ」は「まねぶ」と呼ばれ、その意味は「真似る、模倣する」である。

しかし先生、指導者は基本の技の型や体づかいを教えられるが、ある程度以上の形を生徒、とりわけ多数の生徒に教えるのは難しくなる。故に、習う側も自主的に形を身につけるようにしないといけないことになる。

合気道においても大切にしなければいけない形には次のようなものがある。そしてこれらの形が身につかなければ、先述の合気道の基本技の形にならないと思うのである。

  1. 体の形
    武道家としての体の形、姿勢、体勢である。胸を張り、腰が落ち、顔を上げ、足でしっかり立ち、体の各部位がしっかり結びつき合いどっしり安定した体の形
    捩じらない、曲げない体の形
  2. 体の動きの形
    ・足は右左陰陽々々で規則正しく動く形
    ・手も右左陰陽々々で規則正しく動く形
    ・手と足が共に右左陰陽々々で規則正しく動く形〃
    ・腰 → 足 → 手の順で動く形
    ・足底は踵 → 小指球 → 母指球 → 反対側の踵・・・の形
    ・体(手・腰・足)は円の動きの巡り合わせの形
    ・手掌の体は母指球(親指)で、小指側(手刀)を用でつかう形
    ・片手の場合の手は顔の前にくる形
    ・両手の場合は、両手の中間が腹ら(正中線)の前になる形
  3. 目に見えない形
    ・イクムスビの息づかいで手先を縦→横→縦と十字から気を生む形
    ・布斗麻邇御霊の水火の形に合した技の形
    ・魄が土台になり、その上に魂がのる形
    ・体の裏からの陰の気を体の表の陽の気に返してつかう形 等々
これらの形をつくり、身につけるのは容易ではない。自分との戦いとなる。これまでは相手を投げたり押さえる事を目的に技をつかっていたのを、己の心に負けないようにする稽古になるのである。もし、相手を投げよう、決めようと一瞬でも思った途端に、形が崩れてしまうはずである。
これからは心の修行になるはずである。見えない世界の修行である。