【第1007回】 息陰陽水火の理と実践
息陰陽水火で技をつかうように稽古をしてきたし、その論文も5編ほど書いてきた。しかし技はほどほどに掛かるようにはなってきたものの、まだ体も心も満足できていなかった。それが「第1005回 魄が下、魂が上、魂が魄を導く」で書いたように、手の平で強靭な魄の土台をつくると、その上の手の甲に魂が生じ、強力を生んでくれることがわかり、息陰陽で技と体を使えるようになったのである。つまりこれこそが息陰陽であるという実感が持て、息陰陽が使えるようになったわけである。
息陰陽が使えるようになると、その仕組みや働きが見えてきた。その見えてきた事を記すと、
- 息陰陽とは何か、どのような意味かである。息とは腹中の息である。腹中で引く息が陰、吐く息が陽である。息陰陽であるから、先ず息を引くわけだが、腹を膨らませることによって息が腹に入り、腹の前に出る手先は腰で引っ張られることになる。
これは“う”の言霊と
である。
このままだと息陰で手も引くだけになってしまい、相手の手と接触しない事になる。
- この息陰の手が前に出るには水火と結ばなければならない。これを大先生は、「一挙一動ことごとく水火の仕組みである。いまや全大宇宙は水火の凝結せるものである。みな水火の動きで生成化々大金剛力をいただいて水火の仕組みとなっている。水火結んで息陰陽に結ぶ。みな生成化育の道である。」と教えておられる。
つまり、水火を息陰陽に結ぶという事である。水火を息陰陽に結ぶとは、水火の仕組みに息陰陽を組み込んでいくという事になる。口で息を吐き手先(手の平)を縦に伸ばす(水)。そして口と胸を膨らませ手の甲を拡げるのである(火)。この水火で手先は縦に出、そして出たところで横に膨らむことになる。これに腹中の息を引き(陰)、そして吐く(陽)と組み合わせるわけである。
- 因みに、上文の「みな水火の動きで生成化々大金剛力をいただいて水火の仕組みとなっている」にあるように、手と体は大金剛力が出るようになるわけである。
- 大先生は「合気はまず十字に結んで天ていから地てい息陰陽水火の結びで、己れの息を合わせて結んで、魄と魂の岩戸開きをしなければならない」とも言われているが、ここには二つの重要なことがある。
一つは、息陰陽水火は天地と結ばなければならないということである。具体的例としては、手の平が頑強な魄の土台となるためには、“あ”“お”と天地と結び、“お”で手の平に天の気を地と共に下ろさなければならないことである。手の平と地がしっかり結んではじめて頑強な土台ができ、息陰陽水火が使えるのである。
二つ目は、「己れの息を合わせて結んで、魄と魂の岩戸開きをしなければならない」とあるが、“う”の言霊と息陰陽水火で手の平(魄)と手の甲(魂)で分け、魂が魄の上で働くようにすることであると考える。
- 技はこの息陰陽水火で掛けなければならないことになる。これでぶつかってぶつからない技になるのである。息陽陽や息陰陰では駄目ということである。
大先生は相手に引かせるように仕向けると言われるのは、まさしくこの息陰陽水火の事であると思う。
これまではその働きが十分に発揮されていなかったので、真の息陰陽にならなかったわけである。水火が息陰陽と結ぶ事により魂が生まれ、そして大金剛力も生まれるようにしたいものである。
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