【第1003回】 体を鍛え直す

これまでは技を掛けるために体をどのように使い、鍛えればいいかを探究してきた。お陰で技も体も大分使えるようになった。
しかし、大きな問題が出現してきた。それは満足に受け身が取れなくなってきた事である。前受身は勿論の事、後ろ受身も上手く取れなくなってしまったのである。後ろに転がったから手の力を借りなければ起き上がりも、立ち上がりも出来ないのである。そしてこれでは自分の合気道もそろそろこれで終わりかとも思ったのである。何故ならば、以前から受け身が取れなければ、取らなければ真の合気道の稽古にならないと考えていたからである。相手を投げたり押さえたりしての合気道もあるだろうが、それに受けが加わって完成すると信じているからである。多くの弟子を教える先生には難しいだろうが、やはりたまには受けを取るようにするのがいいと考える。己の体の状態が分かるはずである。

1000回の論文を書いて、今度は何をやろうか考えていたがその答えの一つが出た。それは体を鍛え直すことである。体の弱い部分を鍛え直すのである。鍛えなければならない弱い部分に気づかせてくれたのは受け身である。そこで後ろ受身が出来るようにする事を当面の課題としたのである。
先ずは、後ろ受身でお尻をついて背中で転がるまでは何とかできるが、ここから起き上がり、更に立ち上がるのが大変なのである。手で床を押し、手の力でやっと起き上がっているのである。これは武道の動きではない。恥ずかしいかぎりであり何とか改善しなければならない。

受け身ができるように体を鍛える事になるわけだが、二つの方法で鍛える事にする。一つは、朝の禊に加える事である。これまでの技を掛けるための鍛練を控え、受け身の稽古をするのである。
受け身の稽古も時間が掛かるようなので、途中で諦めたり、投げ出さないように、はじめは容易な事から始め、少しづつ高度な稽古に進み、それが積み重なり最後に満足できる成果が出るようにしたいと考えている。
まず、初めに考えて実行した受け身鍛錬法・プログラムである。

  1. 胡坐から背中を床につけ起き上がる  
  2. 胡坐から背中を床につけ起き上がり、そして立ち上がる  
  3. 立ち上がったところから、後ろ受身を取り、立ち上がる  
注意する点は、手で床をヨイショと押して立ち上がらないようにすることである。しかし実際やってみると思ったより難しいが挑戦しなければならない。
これを基本とし、これにどんどん必要な事を加えたり修正していけばいいだろう。最後には満足できる受け身鍛錬法・プログラムができるはずである。

次に道場での準備運動でも上記の受け身をするようにする。これまでは呼吸法で技の研究をしていたが、今度は呼吸法の受けで受けの研究と鍛錬をしたいと考えている。
更に、相対稽古ではこれまでのように相手に技を掛けるのが主流であったのを、当分の間は受け身主流の稽古にしたいと思っているところである。