ついに目指していた1000回を迎えた。この論文を書き始めてから約20年になる。当初は、1000回の目標を達成できるとは思っていなかったし、またこの論文を毎週休みなく書いていく自信もなかった。しかし、結果的に見ると、20年間、毎週欠かさず書くことができたわけである。今こそ仕事もしていないし、国内外の出張もないのでこの論文を書いたり、考えたりする時間と余裕があるが、当時はドイツへの2週間ほどの出張は年に2,3回程あったし、月に数度の国内出張もあった。論文はこの『合気道の思想と技』の他に『合気道の体をつくる』『合気道の上達の秘訣』『高齢者のための合気道』の計四編を書いていたわけだから、我ながらよくやったと思う。
さて、1000回を達成したわけだが、これでどうするかである。1000回達成を目指していた時は、1000回になったらこの論文を終了したいと思っていたし、このような挑戦はもうしたくないと思っていた。
しかし1000回達成が近づくとその考えは少しづつ変わってきた。1000回以降も引き続き書き続けるべきだと思うようになったのである。
その理由は、1000回で目標の回数には到達しても、己の合気道のレベルは求めていたレベルに達成していないからである。目標にしていたのは、魂の学びの合気道であったが未着なのである。また、この魂の上に「山彦の道」があることも分かった。更なる精進が必要であり、更なる精進のためにはこれまでやってきたように、毎朝の禊をし、道場での相対稽古をし、そして毎週論文を書くのが最良の方法であると考えたのである。
また、『合気道の思想と技』でも、もう一つやるべき事が残っているのでそれもやらなければならないのである。
それは合気道の大乗である地上楽園建設のための生成化育である。人類や万有万物へのご奉公である。先ずは後進の育成からはじめる。自分が長年やってきたこと、考えたことを後進に伝えておくことである。一人でも二人でも、直接的でも間接的でも、日本人でも外国人でも構わないので伝えておこうと思っている。私の場合は文字にもしているので伝わり易いと考えている。どれだけ伝わるかは私の技と考えのレベルによるわけだから、大したことは出来ない事は承知している。
出来れば、合気道の後進にだけでなく、合気道をよく知らない世の中の人にも合気道を知ってもらい、いい世の中になるようにしたいと思っている。その種をまかれていた大先生のお手伝いをするということになるだろう。
合気道の修業には終わりがないという事なのである。1000回の終わりが、更なる始まりとなるわけである。新たな挑戦の始まりである。これまでのように、きっかり毎週四編となるかは分からないし自信がないが、続ける事にする。