【第667回】 高齢者の魅力のために

高齢者に魅力のない社会は活気がなく、寂しい社会であり、発展性が無いと思う。だから社会や国を活気づけ、発展性を持たせるためには、高齢者に魅力的になってもらわなければならないと考えている。
勿論、合気道社会も然りである。魅力的な高齢者が増える事である。

魅力的な高齢者とは、人によって違うだろうから己の考えをいうと、いずれ死ぬことが分かっていても、それを意識することなく、毎日を精一杯生きている人。自分のやりたい事に真剣に挑戦し、そしてそれを楽しんでいる人。世の中が少しでもよくなるように思いながら仕事をしたり、生きている人等である。 

合気道の魅力的な高齢者はどのような人かも考えてみなければならないだろう。まだ高齢者にも魅力的にもなっていないので、己の理想を書いてみる。
魄から魂の合気の稽古ができること。気とか魂とは何か、どうすればこの目に見えないモノが現わされて活動させることができるのかが出来る人。天と地と結び、宇宙と一体化できる人。そしてまた、己は何者なのか、何処から来て何処に行くのかが分かった人。また、合気道は武道であるから、ある程度の合気の技が遣え、合気の体が出来ていること等である。

若い内は、これは難しい。これは自分の経験上言える。人は若い内、どうしても見える世界の顕界、物質科学の世界に生きることになり、ある程度のモノと力を身につけるが、年を取らないと、見えない世界の幽界・神界、精神科学の世界への興味を持つことも、入ることも難しいものである。

しかし、顕界や物質文明社会にある若者は、それでも物や力に満足できず、また物質文明が引き起こす宿命にある、競争や争いに悩まされる若者たちは、何とかこれから抜け出そうとしているはずである。
これを解決できるのは高齢者であるが、そのためには、先ほどの魅力的な高齢者でなければならない。合気道をよく解した高齢者でなければならない。

今の若者は迷っていると思う。生きる目標、己が全精力を打ち込めるものが無い者が多いということである。合気道でも稽古の目標を持ち、それに取り組んでいる若者は少ないように見える。本当の目標を持たなければ、真剣に稽古に取り組むことは難しいからである。

合気道の修業(稽古)の目標は、宇宙との一体化である。宇宙と自分が一体となり、自分が宇宙になることである。その方法は、合気道の技を身につけていくことである。合気道の技は宇宙の営みを形にしたものであるから、技を会得することによって宇宙が入ってきて、最終的には宇宙になるわけである。

また、別な合気道の修業の目標は、宇宙楽園建設、地上天国建設のための生成化育のお手伝いである。宇宙、地上を楽園・天国に少しでも近づけるべく稽古をするのである。自分一人では出来ないから、後は後進に引き継いでもらうのである。
人も万有万物はこのために生きているのである。これを使命とか宿命という。これは合気道の教えであるが、合気道社会だけではなく、日常社会にも当てはまるものであろう。
何故、自分は生まれて来て、生きているのか、どう生きればいいのか等の疑問を持ちながら生きている人たちに、こういう考えも、合気道にはあると教えて上げれば、生きる迷いや悩みを持つ何人かを救う事ができるだろう。そして高齢者が魅力的に見られるだろう。

尚、地上天国・楽園とは、神界と幽界にある天国・楽園を地上に創らなければならないという事であろう。神界は天之御中主神等を初め各々がそれぞれ役割を持つ神々で神界を完成されており、幽界も大日如来等を初めそれぞれの役割を持つ仏で幽界が完成されているが、我々の顕界がまだ未完ということであり、我々が顕界に楽園をつくり上げていかなければならないということであると考える。

このような事が話せて、技で示すことが出来れば、若者は高齢者に魅力を感じ、自分達も一生懸命に稽古をしよう、そして一生懸命に生きなければならないと奮起するだろ。そしてそのような社会が生き生きと発展していくはずだと思う次第である。