【第62回】 積極的、挑戦、生産的

日本の65歳以上の男女合わせた高齢者は2,488万人、全人口に占める高齢者の比率は19.5%(2004年)となっているから、高齢者はかなり多いと言える。この内、65歳以上の男性は1,110万人であるが、日本の人口のほぼ一割に近い。年を取ったとか、定年で仕事を辞めたなどで何もしないでいるのは、国にとっても勿体ないだけでなく、自分でも生きている張り合いがないのではないだろうか。

街では多くの高齢者を見かけるが、自分の生き方に満足し、生き生きした顔をしている高齢者は少ないように思われる。合気道の道場にも多くの高齢者が通ってくるが、そのほとんどは街で見る高齢者の顔よりも生き生きしているようだ。

この差はどこから来るかと考えると、合気道を修練している人は、体を動かすせいもあって積極的である。また、稽古相手に接することで更なる上達へいつも挑戦している。さらに、稽古を通して技を磨き、いろいろな知識や知恵を身につけ、自分を成長させようと、生産的に生きている、ということがいえよう。

すなわち、高齢者が生き生きと生きるためのキーワードは、「積極的、挑戦、生産的」となる。合気道を修行する高齢者は、更にこの「積極的、挑戦、生産的」な生き方に積極的に取り組んでいくことが望ましい。高齢になれば自由に使える時間は増えるが、経済的な事情や体力は人それぞれに違うであろうし、自分でそう簡単に変えることもできないだろう。しかし、この「積極的、挑戦、生産的」な生き方、あるいは稽古のやり方は、意志だけの問題なので、やろうとすれば誰でも、いくらでもできるはずである。

高齢者がしっかりしないと、社会がよくなることはない。是非、「積極的、挑戦、生産的」な生き方や稽古を続けて欲しいものだ。それに明るさが加われば、もっと素晴らしい社会となるだろう。