【第608回】 便秘の合気道的解決法

年を取ってくると体の具合が気になってくる。体調とか健康とかいうことである。若い時は、体調とか健康などあまり気にしなかったものである。気にしたとしたら、風邪を引いたとか、病気になったり、大けがをしたときぐらいである。
年を取ってくると、健康状態の時でも健康を気にしてしまうようだ。健康が維持できるようにと、食事や睡眠などに気を使うことになるわけである。夜は12時までに寝るようにするとか、食事も三食規則的に摂る様にしたり、野菜や肉などバランスよく摂る様に気をつけるようになる。

食べたモノは、体で消化し、それが活動エネルギーになるので、翌日、体調に現れるから、食事は大事にしなければならないと思うようになる。
しかし、食事は別な意味でも考えなければならない。食べて摂取されないで排出される面である。体に摂取されなかったモノは、便として排泄されるわけだが、時々うまく排泄されずに体に滞ってしまうのである。これを一般に便秘というのであろう。
今回はびろうな便秘の話で恐縮だが、高齢者には命に掛かるような大事な事なのでご了承願いたい。

便秘にならないためには、繊維性の野菜を食べろといわれているので、なるべく線維性の野菜を食べるようにしているが、それでも便秘になることがある。大体の場合は、下腹での縦と横の十字の息づかいで出てくるものであるので、軽症のモノは、十字の呼吸で何とかなるだろう。

しかし、この十字の息づかいでも出て来ない重症の場合がある。所謂、くそ袋までは来ているのだが、肛門でつまって出て来ないのである。いくら力んでも出ず、非常に気分が悪いものである。
通常なら、浣腸をするとか、医者に行くことになるのだろう。だが、合気道を修業している武道家であるから、他人に任せるのではなく、何とか自分で処理すべきだと考える。それも出来れば学んでいる合気道の教えによって解決したいと思う。これも稽古である。

その教えは、支点と対象の「体」(支点)と「用」(働く方)の理合いをつかうことである。この場合、通常は肛門が支点で「体」、くそ袋が支点の対象で「用」あるから、くそ袋を絞り用として排泄するわけだが、ひどい便秘で便が出て来ない場合は、これを逆にするのである。お尻を触ると、くそ袋が膨張しているのがわかるから、そこを押すのである。つまり、今度は、この点が体の支点となり、肛門が用となって働くようにすれば便がでてくるのである。具体的にいうと、膨らんでいるくそ袋を指で強めに押しながら、肛門を開いてやるのである。 
いくら力んでも便が出て来なかったのは、肛門を用として働かそうとしても、支点であるべくくそ袋が用として働いてしまい、つまり、膨らんでしまい、肛門が働けなかったからである。

年を取ってくるといつかは便秘で苦しい思いをすると思うが、この合気道の教えを実行すれば問題が解決するだろう。これで便秘の心配はなくなるから、ちょっと安心である。
しかし、これからも新たな健康上の問題は出てくるはずであるが、何とか、武道家として、己で解決していきたいものと考えている。