【第554回】 長寿の秘訣と合気道

100歳、つまり一世紀以上を生きる人を「センテナリアン」というそうだが、この「センテナリアン」は世界で45万人いるという。
NHKのテレビで「センテナリアン」の長寿の秘訣の特別番組があったので見たが、大変興味あるものだった。合気道と関連づけて見た。

これまでも長寿のためには、まず健康でなければならない。そのためには体にいいモノを食べ、適当な運動をすることだといわれてきた。
しかし、この番組は長寿のためのさらなる事柄を紹介してくれた。

まず、食べ物に関してである。食べ物が大事ではあるが、誰にでも合う、長寿のための食べ物などないということである。例えば、地中海料理は体にいいので、サルデニアなどには「センテナリアン」が多いといわれているが、これと同じ料理を食べたからといって長寿にならない地域もあるなど、絶対的な長寿の食べ物はないようだということである。つまり、その地域や人に合ったものをそれぞれ取らなければならないということである。

次に、「慢性炎症」(まんせいえんしょうは、炎症のうち、進行が緩やかに持続するもの)というものがあり、これは加齢とともに誰もがなるものだが、「センテナリアン」はこれが低く抑えられていて、血管が非常にきれいであるという。かの双子の姉妹で有名だった、きんさん、ぎんさんの血管は非常に綺麗だったという。「慢性炎症」が低く抑えられていたわけである。

また、「微小循環」(微小循環とは本来,微小循環系内の血液の流れを意味する)という、筋肉などの体の隅々まで血液やリンパ液が行きわたる機能が働く体であることである。シミなどが少ないことになる。
合気道をやって汗をかき、血管の収縮活動を活発にしていけば、血管を綺麗にし、この「慢性炎症」を遠ざけることができ、微小循環を有する体になると信じる。

三つ目の長寿の秘訣は、心の持ちようという。生き甲斐や満足感など欲求を満たすことにより、先の「慢性炎症」を抑えることができるのである。ただし、生き甲斐や満足感は自分本位のものではなく、人のためとかお互いに助け合うことによって得られるものでなければならないという。
合気道でも、自己本位で、相手を投げたり抑えたりして満足していては、合気道の稽古をしても、「慢性炎症」を遠ざけることはできないことになる。自分も上達するが、相手も上達するように相手を考え、相手の助けにもなるよう、更に合気道の発展、宇宙生成化育・宇宙楽園建設のお手伝いにつながる稽古をすれば、「慢性炎症」を抑えることができることになるはずである。
また、もっと大事な事は、合気道を稽古できること、合気道に出会ったことに感謝し、喜ばなければならないだろう。

更に新しくわかったことは、「老年的超越」ということである。100歳ぐらいになると、これまで沢山あった辛い事からポジティブなものが生まれてくるという。また、今の体が思うように動かせない、たとえ寝たきりでも、生き甲斐の感情が上ってくるし、心が豊かになり、生きている大きな喜びが生まれるという。
つまり、productive agingである。

まだ、100歳にはほど遠く、「センテナリアン」の「老年的超越」の気持ちは分からないが、合気道でもこの「老年的超越」が持てたらいいと思っている。

参考文献  NHKスペシャル「徹底解明 100歳の世界」