【第525回】 正統をいく

世界的に活躍された建築家であった丹下健三さん(写真)のドキュメンタリーテレビを見ていたが、流石世界的な名声をあげた方は凄いものだとつくづく考えさせられた。作品に東京代々木の国立屋内総合競技場,東京カテドラル聖マリア大聖堂,東京都新庁舎など、またユーゴスラビアのスコピエ再建都市計画,イタリアのボローニャの都市計画なども手がけた実績は勿論であるが、その仕事に対する姿勢と思想に感銘した。

丹下健三さんは、「建築は正統をいかなければならない」と云われている。目新しいモノとか奇抜なものをではないということだろう。合気道と同様、建築道という道に則っていなければならないということだろう。道というのは、究極的な目標につながっているものである。合気道ではその目標は、宇宙天国・地上天国の完成である。建築もこの目標に則った道をいかなければならないということのはずである。

また、丹下健三さんは「正統とは変わらない事である」という。これを合気道的に解釈すれば、正統とは、時間も空間も関係なく、また、現代だけでなく、未来の人たちにも評価され、その国だけではなく、どの国・地域・民族にも評価されるということになるだろう。代々木の体育館など、その典型といえるだろう。

更に、丹下健三さんは、「美しいもののみ機能する」ともいわれている。建築物そのものだけでなく、屋根のライン、外壁の形等々、美しくなければ建築物として機能しないというのである。代々木体育館の屋根やひさし等の曲線美は本当に素晴らしい。だから十分な機能性を有するのだろう。

これは合気道を修業していれば、分かるはずである。美しくない技、美しくない体の動き・つかい方などでは技は効かないということである。
美しいとは、無駄と不足がないことである。多すぎも、少なすぎもないのである。だから、美しいし、機能するのである。足でも手でも、多すぎる動き、足りない動きでは技は効かないし、美しくないはずである。

美しいものがあれば、それをつくった人や何かがあるわけだが、それは美を追求しながら機能も追及し、地球天国・宇宙楽園完成のために働こうという心を持っているはずである。
青空や夕焼け、星や月や太陽、海や山、草木や花などなど自然や宇宙は美しい。自然も宇宙も、地球天国・宇宙楽園完成のために働こうという心を持っているから美しいしし、生成化育を繰り広げているのだろう。