【第39回】 ボケない為には体、特に下半身を鍛える

一般にボケ予防のためには、食事を注意するとか、頭を使えといわれ、多くの人が食事に気をつけ、頭を極力使って頭の老化予防をしている。それはそれで効果があるが、体を鍛えることも大切ではないだろうか。

高齢者でいい仕事をされ、活躍されている方や、かって活躍された方、例えば、聖路加病院理事長の日野原重明医師(96歳)、女優の森光子氏(87歳)、99歳で欧州最高峰のモンブランからスキーで滑降した故三浦敬三氏などは、毎日、体操をしたり、スクワットをしたり、筋トレをしたり、エレベーターを使わず階段を上るなどして、体を意識して鍛えている。筋肉が充分ついていて、足腰のしっかりした人で、頭が老化した人はほとんど見かけない。

頭の老化には、アルツハイマー型認知症や脳血管性認知証及びその複合型があるらしいが、その予防法の中心は食生活、ストレスをためないこと、そして体を動かすことであるという。特に、血液がどろどろの人は頭が老化する可能性が高いといわれるが、その要因はストレス、不摂生な生活、喫煙、塩分の摂りすぎ、アルコールの摂り過ぎ、肥満などにあるようだ。これらの多くは運動不足が引き起こすもので、さらにそのためにエネルギーをもてあまし、ストレスがたまり、という悪循環で、すべてといっていいほど運動不足が根本的な原因を作っているのではないかと思われる。

現代は便利になり、体を動かさなくとも機械が代わりにやってくれるようになった。さらに、現代人は肉体よりも頭の方に比重を置くようになってきて、昔と比べると肉体を軽視する傾向にある。人はますます横着になっており、少しでも楽をしようと思うため、自ら体を鍛える苦労はたがらない。しかし、楽をすることに対する代償は、支払わなければならなくなるだろう。

下半身を鍛錬してしっかりしてくると、姿勢もよくなるし、体も一回り大きく見えて、高齢者であっても自信が持て、おまけにストレスも感じなくなって、活動的で楽しい生活を送れる。下半身を手軽に鍛えるには、相撲の四股がいいと思う。90歳から始めるのは無理だろうが、50〜60歳から毎日少しずつ続けると体も変わり、頭の老化も防げるだろう。筋肉は60歳になっても付くものである。

足の筋肉は、重力に逆らって血液を心臓に戻す働きをする。筋肉を動かすことで血管を圧迫し、血液を送り出すポンプの働きをするのである。ということは、足に筋肉をつけて、足を使うと、血液が体中に行き渡り、頭にも多くの血液が行くことになるので、老化も起こりにくくなるという訳である。