【第35回】 一瞬々々を楽しむ

若いうちはいろいろな選択肢がある。その中から自分が進むべき道を探さなければならないが、それは容易ではないだろう。その道を見つける前にいろいろな誘惑があり、迷いがある。人は容易な道に安易に行きがちであるが、それを見極めることや、目先の安易な道への誘いを我慢する必要もあるだろう。

高齢者になれば、自分の選んで歩んできた道の終盤地点にさしかかっている。先はあまりない。先のためにということは最早考える必要はあまりなくなる。
死ぬとき後悔しないようにするために、一瞬々々を楽しみ、自分の気持ちに正直に生きるのがいい。迷ったら、良い方、高いものを選べばいい。
死ぬときは多分ボケていて判らないかも知れないが、心の中で、あれをやっていればよかったのにとか、どうしてあれをやらなかったのかと後悔することがないようにすべきであろう。

好きなように生きるには、危険や心配もあるだろう。お金や体力を使いすぎて、後で困るようになるかも知れない。しかし、欲望と現実との境界線上のぎりぎりで生きるからこそ、生きている実感を持てるのではないか。何も心配がなくなったら、生きていく張り合いがなくなるかもしれない。

時間も金も、そして体力もあるうちに、人に迷惑をかけない限り好きなことをやり、やりたいようにやり、そして一瞬々々を楽しむのが一番いい。高齢者の合気道も然り。後で後悔しないためにも、一瞬々々道を楽しむべきである。