【第320回】 これまでの悪弊が出てくる

年を取ってくると、体の節々に痛みやガタがでてくるものだ。若い頃は、どこかが多少痛かったり、違和感があっても、そのままにしているうちに消えてしまったものだが、年を取ると無理がきかなくなってくる。

最近、開脚でのストレッチが急にできなくなった。右側の右足へ体を倒すのは問題ないのだが、左側では筋肉がつり、痛くて倒せないのである。昔なら、がむしゃらに伸ばしただろうが、もうそうやる気にはなれない。代わりに、どうしてそうなったのかの原因追究とその解決法を見つけた方がいいと思った。

足の筋肉が痛いという結果には、必ず原因があるはずだ。原因が分かれば、それを解決する方法はあるはずであるし、その解決法が正しいかどうかは、痛いという結果が解決されればよいわけで、そう難しいことではないだろう。

長年にわたって体をつかってきたわけだが、無意識のうちに間違ったり、やるべきことを避けて体を使うこれまでの悪弊に、その痛みの原因があるはずである。

自分の左右の足を見比べると、左右の筋肉の質と量が大分違うことに気づいた。右のふくらはぎやももの筋肉の方が、左より太く、弾力性があるようなのだ。

また、右足と左足の使い方、動かし方も多少違っているようだ。右足の方は着地する際、内側に内転するのに、左足は内転しないし、ひどい場合は、内側ではなく外側に開いてしまう。これは街を歩く高齢者の歩き方を見るとわかるだろう。

通常は、右足が着地すると、踵から小指球、そして拇指球と力が移動すると同時に、足が内側に内転しなければならないわけであるが、高齢者の左足は上からペタッと置く程度で、拇指球にまで体重が移動せず、小指球で止まってしまう。このために、足は外に開いた状態のままになってしまうのである。

年を取ってくると、体は硬くなるし、少しでも楽に歩こうとするので、ますますこの傾向に拍車がかかることになるだろう。

とすると、開脚のストレッチで左足の筋肉や筋が痛くて伸びないのは、左足の筋肉・筋の弱さと、左足の内側への内転の少なさからきていることになる。

従って、この痛みを取るためには、次のようなことをすればよいと考える。

これまでの悪弊による体遣いのまずさを、体は警告してくれるのである。有難いことである。その声を無視しては申し訳ない。