【第566回】  足運びの法則

合気道の技(形)は本当によくできていると、いつも感心させられる。いいというのは、自然で、無駄がなく、美しく、摩訶不思議で素晴らしいということである。
また、法則に則って体をつかえば、形(一教、小手返し等)にきっちりと納まるようにできている。
今回は、足運びの法則に則って足をつかえば、形にきちっと収まり、相手も納得する形(技)になるということを書くことにする。
尚、足運びの法則は、通常は歩法というが、足運びの重要性を強調するために、敢えて足運びの法則とする。

合気道の技は足で掛けるといっていいほど、足は重要な役割を果たす。
しかし、これがまた合気道の面白いところであり、パラドックスであるが、足が重要だと云って足を動かしても駄目なのである。足を動かすためには、足と結んでいる腰腹をつかわなければならない。腰腹が重心を右、左、右・・と移動し、腰腹で足の方向や位置を定めて動かすのである。つまり、足の陰陽と十字は腰腹でやることになるわけであり、足運びは腰腹が基になるわけである。
しかし、足運びの法則の説明のために、足で説明する。

合気道の技(形)には、投げ技と抑え技がある。どちらも足運びが法則に則っていないと上手く効かないし、美しくない。
また、抑え技は最後まできちっと押さえるが面倒のようで、いい加減でやってしまう傾向にある。演武会など他人に見せる場合などは、最後まで気を抜かないできちっと押さえるべきである。見る人はそれを見に来ているのである。受けを投げたり、崩すこと、やっつけることをみにきているのではないはずである。受けが受けを取り、投げられるのは当然なことで、そんなことは大事ではない。大事な事は、取りがどのような手の動き、腰づかい、そして足運びをして技を収めるかということである。

例えば、受けと触れたところから、最後の決め、収めま、そして離れるまで、足が右、左、右・・と規則的に動くと、最後の収めの足の重心移動で技がきちんと決まるのである。
一教でも、二教や三教でも最後の足と手で技が決まるのである。決めるのではなく、自然と決り、相手の手は胸元に入ってくるのである。
小手返しは、この足運びの法則に従っていないと、上手く、きれいに収まらないし、足運びの法則に則ってやれば、不思議なように上手く収まる。これを有川先生が、ジョロウグモのように絡め捕るといわれていたことだろうと感じる。

技が引っ掛かったり、動きが止まったり、また、最後の押さえで足と手が決まらなければ、途中の足の運びに誤りがあったということになる。

形稽古を漠然とやるのではなく、抑え技はもちろんの事、投げ技でも、足運びの法則に則って、最後まで気を抜かずにやることが大事である。