【第556回】  アウンの呼吸で

技をつかう際は、体に気(エネルギー)を満たさなければならない。気が満ちると力が湧き、筋肉、体が活性化するから技がつかえるようになるはずである。
これまで、気は縦横十字の息(呼吸)によって発生するので、息は気にとっても、技にとっても大事であると書いてきた。息づかいを誤ると、また、息を上手くつかわないといい技にはならないのである。

しかし、技でつかう息は、息をしようと思っても思うようにできないものである。息がつかえてしまったり、潮の干満のような動きにならない。
息が上手く働くためには、まず気が動かなければならないのである。普段。無意識にやっている息だけの息づかいでは、力も出ないので、技には使えない。

己の息を動かすための気は、先ずは己の気、そして天地の気である。息を動かす・つかうために天地の気に己の気、そして息を合わせるのである。天地の気というのは、天へ上がる気と地へ下りる気であり、同時に上下するものである。

しかし、己の息を天地の気に合わせるのは、ただ念じても、無暗にやっても難しいだろう。アウンの呼吸をつかうのである。
アと十字にした口中で気が満ちると、その気と己の体からの気が天に上がり、天の気と結ぶ。また、同時に地にも下がり、地の気と結ぶ。それに若干遅れるように、気を追うように息が天に上がり、地に下りるのである。これで息が動き、体に気と力がみなぎり、技になるのである。

ウンで上に上がっていた気と息、下がっていた気と息が腹に集まる。技の収めである。
技の初めはア、収めはウンとなる。技はアウンの呼吸でやるということになるだろう。