【第529回】  息、呼吸、阿吽の呼吸 その1

合気道は形稽古で技を錬磨して精進していく。宇宙の営みを形(かたち)にした技を稽古することによって、宇宙の営みを身につけていくのである。
しかし、容易に宇宙の営みを身につけることはできない。やるべきことを、順序よくやらなければならない。

まず、はじめはそのための体をつくらなければならない。関節や筋肉がガチガチに固まっていたり、肺や心臓などの内臓が十分に機能しなければ、体が十分働かないから、技も効かないことになる。また、ある程度の筋肉や力もつけなければならない。

そのためには、最初は受け身を十分とって体をほぐし、筋肉や関節を柔軟にするのである。受け身がとれるようになると、合気道の体の基本ができたことになり、誰もがそれを実感するはずである。ここまでは容易である。

しかし、これは最初の最初で、合気道の体づくりは、これから始まることになるのである。それは、真の合気道の体である、宇宙の法則に則った体づくりをしていくである。形稽古を通して、宇宙の法則である技を見つけ、技から法則、また、法則から技を身につけていくのである。
例えば、体を陰陽につかい、陰陽に機能する体をつくり、体が縦横の十字に、その十字から円の動きになり、円の動きのめぐり合わせで技がつかえる体をつくっていくのである。
要は、宇宙の法則に少しでも近づくように体を鍛えていくのである。

形稽古から技の錬磨の稽古の段階になると、呼吸、つまり息づかいが重要になってくる。形稽古の段階というのは、形を覚えることが目的になるし、形で相手が倒れると思って稽古している次元であるともいえるだろう。形では人は倒れないのであって、技が必要なのである。
そしてその技をつかうためには、呼吸が大事になってくるのである。

これまで合気道の体づくりや息づかいなどは度々書いてきている。
息づかい、呼吸では、縦と横の呼吸、腹式呼吸と胸式呼吸、十字の呼吸、イクムスビの呼吸、火と水の呼吸等々書いてきた。

ここまでは、これまで書いてきたことのおさらいということになるが、この基本的な息づかいの後の息づかいに、更なる大事な息づかいがあるようなので、それを次回に研究してみたいと思う。