【第468回】  法則を教えてくれる基本技 その5.「螺旋」

今回は、宇宙は螺旋で営んでいる、という法則を、どんな基本技で、どのように学べばいいのか、を研究してみることにする。

宇宙が螺旋でできているということは、例として挙げる、マゼラン星雲の星雲(写真)などにも示されていることである。

開祖は「御造化の御徳を得、呼吸が右に螺旋しつつ舞い昇り、左に螺旋して舞い降り、水火の結びを生ずる、摩擦連行作用を生ずる。水火の結びは、宇宙万有一切の様相根元をなすものであって、無量無辺である。」といわれているが、宇宙の万有万物は螺旋で陰陽を生じ、そして、摩擦連行作用から終わりなく創られていく、ということであろう。

確かに、世の中のものは螺旋でできており、螺旋に機能しているように思える。草木にからむツルも螺旋にからんで伸びるし、からまれる草や木それ自身にも、枝や葉が螺旋で付いている。人の体も螺旋で創られ、機能している、と言ってもよいだろう。頭の渦巻きや骨に付いた深層筋なども、それを証している。

また、人の体は陰陽、十字に創られており、自由に折れ曲がり、使いやすくできている。ただ合気道で技を遣う場合には、手なども螺旋に遣わなければならない。折れないためには、ロックしなければならないのである。ロックしなければ技にならないし、力も伝わらない。ギンギンギラギラだけで手を回しても、手は折れるし、力も出ないだろう。

同じ回すのでも、ギンギンギラギラでは駄目であるが、ではなぜそれでは駄目で、螺旋でなければならないのだろうか。ギンギンギラギラは円の動きであり、二次元曲線で平面的であるので、一回まわっても初めと同じ箇所に戻ってくる。そのような動は同心円、等速であり、力が減退することがあっても、増えることはないのである。

一方、螺旋は三次元曲線で立体的であり、一回まわっても、上下と左右の縦と横軸が違う位置に来るため、形と速度と力が増強され、大きい力が出ることになる。開祖が「渦巻きの中に入ったら無限の力が湧いてくる」といわれたのは、このようなことを意味すると考える・

では、この法則をどのような基本技で身につければわかりやすいかというと、やはり「交差取り二教」だろう。手と足を陰陽と十字に遣い、体重を左、右、左と移動しながら、息に合わせてやれば、螺旋の動きになる。これで技が効いてくると、摩擦連行作用が生じることになるだろう。

この摩擦連行作用を生じさせることが、大事なのである。開祖は「この摩擦連行作用を生じさすことができてこそ、合気の真髄を把握することができるのである」といわれているのである。この摩擦連行作用は螺旋から、そして、この螺旋は「交差取り二教」で学ぶのがよい、と考える。