合気之道の稽古には終わりがない。終わりがあるのは、稽古をしている本人であり、本人がどこまでやれるかにかかっているだけで、合気之道の知ったことではない。
合気之道は延々と続く。何かに向かっている。それは万有万物の進んでいる道であり、宇宙の意志であるという。
合気道の稽古は、宇宙の意志に沿って行われなければならないはずだ。そもそも合気道の技は宇宙の営みであり、宇宙の法則に則っているものである。宇宙の営みや宇宙の法則とは、宇宙の意志であるわけだから、それに同調しなかったり、逆らうことをしてはいけないわけである。
初心者にとって、宇宙の意志に逆らわずに稽古していくのは、容易なことではないだろう。なぜならば、そのためには、知るべきことややるべきことが沢山あるからである。例えば、十字、円の巡り合わせ、天之浮橋に立つ、道、技、等などが分からなければ、道にのれないし、道を先に進めない。また、ナンバや撞木の歩法、入り身転換、体の表つかい、腰腹と手足を結んでつかう、体の中心から動かす等などが身につかなければ、技はつかえない。
このように知るべきこと、身につけなければならない事はたくさんある、というより、恐らく無数にあるはずだ。どんな天才でもこれを短期間で知り、身に着けることはできないだろう。ましてや一般の稽古人ならなおさらだ。地道に稽古をしていくしかない。
しかし、注意しなければならないのは、ただ稽古をすればうまくなるという錯覚を捨てることである。上達するように、稽古することである。
では、どのようにすれば上達するかというと、宇宙の法則を一つ一つ見つけ、身につけていくことしかない。技は宇宙の法則であるから、技の練磨の中でそれをどんどん見つけ、つなげていくのである。