【第98回】 起立筋(きりつきん)

歳を取ってくると、前かがみになり、背中が丸まってくる。主な原因の一つは、肩、腕、そして首の重心が体の中心から前へせり出してくるので、背中が丸まってくる。もう一つの原因は、筋肉が弱くなるために背骨が丸く曲るためであろう。

背中をピンと立ててくれる役割をするのが起立筋であり、正式には「脊柱起立筋」(せきちゅうきりつきん)と言われる。この筋肉が弱ると背中は曲ってくる。起立筋の主な働きとしては、姿勢の保持によって脊柱を伸展し、屈曲(猫背)などを防ぐことにある。

しかし実際には起立筋(脊柱起立筋)という筋肉はなく、腸肋筋・最長筋・棘筋(きょくきん)のなどの筋肉群から成る。

また起立筋それ自体は大きな力を出すことが出来ないとされ、重い物をここで持ち上げることはできないし、無理に持ち上げようとすると腰をいためることになる。

背柱起立筋群(背筋)を強化する運動には、うつぶせになって、上体を上へそり上げて行く、ヨガの姿勢の「コブラ」がいいといわれる。

ただし脊柱起立筋は遅筋なので、ゆっくりと動かさないと筋を痛める恐れがあるので、注意が必要である。 また、うつ伏せになり、両手を頭の後ろに組んで、反り返る背筋トレーニングも効果的であるといわれる。

合気道の稽古では、終末動作での背伸運動(写真)や準備運動でよくやる、天地投げや片手・諸手取り呼吸法の受けを背中を反らせて止める運動や、一教や入身投げの受身を背中を反らしてゆっくり取ればよい。

合気道の稽古でも、脊柱起立筋を強化する稽古はできる。合気道を続けて、とい姿勢を持ち続けていきたいものである。

参考 「筋曜日の肉たちへ」(大沼きん)『簡単筋トレ講座背筋2脊柱起立筋』