合気道は十字道ともいわれるように、十字は重要である。
これまでも書いてきたように、技は体を十字十字につかって生み出さなければならない。しかし、体を十字につかうことはそれほど難しいことではないはずである。何故ならば、人間の体は、以前からいっているように、本来、十字で動けるようにつくられているからである。自分の体をじっくり動かして眺めてみればわかる。
更に、人間の息(呼吸)も、縦横、腹式と胸式の十字に働くようにできているので、縦横の息で体を十字十字につかっていけば合気の技になるはずである。
これまでは主に、手首、腕、肩、腰の十字に重点を置いて研究してきたが、やはり下半身の十字も研究しなければならないと思う。
そこで今回は、体の最下端にある足底の踵(かかと)の十字の重要性について研究してみることにする。
以前は足の十字という表現で書いてきたが、今回はもう少し掘り下げて書くことにする。
まず、踵の十字とは、踵と他方にある足の内側面が直角(十字)になることである。尚、この十字は基本的に直角であり、技を掛ける際も基本的には十字であるが、この角度は変わってくる。例えば、半身で立った場合はほぼ直角だが、通常の歩きをする場合は90度〜20度前後、お能の場合などはほぼ両足が平行になる0度となる。しかし、この90度〜20度前後、0度も基本は直角の十字であると考えた方がいいだろう。
有川定輝先生は、この足づかいを六方に踏むとか、使うといわれていて、この踵の十字(六方)を重視されておられた。下記に、有川先生の正面打ち一教の足が、初めから終わりまで常に十字にある写真を紹介する。