【第589回】 手・腕のつくり方とつかい方
合気道を半世紀以上続けているので、多くの人たちの手・腕を掴んできたお蔭で、やっと分かって来た事がある。それは、手・腕は人みんな違うということであり、また、みんな同じであるということである。
違うという意味は、太さや長さ、筋肉のつき具合、骨の太さ、固さや柔軟性など人によって全部ちがうということで、同じものはないということである。
そしてみんな同じということは、人の手・腕の働きと機能は、男女、年齢、国籍などに関係なく根本的に全部同じであるということである。だから、合気道で技を練り合うことができるわけである。もしも、ある人の手・腕がたこや烏賊のようであれば、稽古の仕様がないことになり、合気道の稽古もできないはずである。しかしまた、人の手・腕がみんな多少違うから稽古になるはすでる。
さて、これまでの経験から、合気道の稽古をしていく上で、手・腕はどうあらねばならないかを考えてみると、
- 柔軟で強靭であること。鋳物のように硬くてもろくないこと
- 関節も柔軟で強靭であること
- 手先から肩まで、特に指関節は、90度以下の鋭角に曲がること
- 伸ばせば、刀のように真っすぐになること
- 弾かず、くっつく引力があること
- 指先まで伸びきること
- 折れないこと
- 腰腹と繋がっていること
- 手先まで気(エネルギー)が通っていて、満ちていること等々
次に、このような手・腕をつくるためにはどうすればいいのかというと、
- 腰腹と結んでいる手・腕を腰腹でつかう
- 手・腕に息で気(宇宙エネルギー)を通してつかう
- 手・腕は十字の螺旋でつかう
- 力がつく稽古、例えば、諸手取呼吸法など力一杯の稽古を続ける
- 手・腕は拳としても短刀や刀としてもつかう
- 得物(木刀、杖、短刀、鍛錬棒)で鍛える
- 手・腕の力が衰えないように、常に鍛え続けることが必須である
尚、標題の「手・腕のつくり方とつかい方」の内、「手・腕のつくり方」までで、「つかい方」まで進まなかったが、手・腕をつくることは、要は、手・腕や体をつかうことと同じあり、正しくつかえば、体はできることになるはずだから、上述のように手・腕がつくられるようにつかっていけばいいと考える。
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