【第575回】 体はおもしろい

相対の形稽古で体はできていくことは間違いないし、稽古で体をつくっていかなければならい。だから、稽古は体が出来るようなものにしなければならないことになる。

そのためにどのような稽古と体づくりをしなければならないかについては、これまでづっと書いてきたし、これからも書き続けていくので、今回はこのテーマではない。
今回は道場以外の日常でも体はつくれるし、つくらなければならないということを書くことにする。

一日24時間の内、道場にいる時間は精々1,2時間であるから、道場の外にいる時間が相当あるわけであるし、やろうと思えば体づくりも十分できるはずである。
また、もう一つの道場外でのメリットは、道場ではできない体づくりができることである。
今回はその一つを紹介する。

私は、人の体は歩くことが基本になって機能すると考える。自分の体験上、一日に昔の一時いっとき(2時間)歩くことである。一時いっとき歩くと体がほぐれ、鼻がとおり、目や頭が冴えからである。毎日は無理だろうから、週に一日でもいいだろう。
歩くことが稽古でつかう体の土台となり、基本の体がつくられるわけである。

郊外でも野原でもいい。平地を。一時いっとき歩くと次のような体の変化が現れる:

  1. 15分〜30分ほど歩くと、足底が緩んでくる。
  2. 更に足の甲、足首が緩んでくる。しこりやこわばりが取れてくるのである。
  3. 次に、モモが緩み、そして太もも、
  4. 続いて、腰、
  5. 腰から背中、心臓や肺も柔軟に働くようになる
  6. 更に、首から鼻が緩み、鼻水が鼻の裏側を流れ落ちる
  7. そして目が緩む、目がすっきりして、物がよく見えるようになる
  8. その緩みは頭のてっぺんまでいく、
これで足底から頭のてっぺんまでの全身が緩んだわけである。
ここまで緩むのに一時いっときほどかかるのである。勿論、一時いっとき歩かなくとも、体はそれなりに緩んでくる。

体の各部位が緩むと気持ちがいいものだ。これが自分の体だと思えるようになるし、生きているという感じがするはずである。
体が緩んでリラックスすると、体の力は中心に集まってくる。そして自分の体と対話し、大地と対話しながら歩くことになるのである。
これが道場での技の錬磨に結びついていくはずである。
仕事で目を使って目が痛いとか、頭が痛いのを直すには、出来れば一時いっとき歩くのがいい。
また、体のバランスを取るのは歩くのが一番いい。頭に血が上ったのを下ろすとか、足や腰の筋肉の崩れたバランスを正常なものに戻すには、薬を飲んだり、マッサージをやって貰うより歩くことである。
だから、歩けなくなったら問題である。だから一時は歩き続けられるようにしなければならない。