【第561回】 手の中指の役割と重要性

常々、人の体は良くできているし、また、どうして、誰がどのように、この人の体を造られたのか摩訶不思議に思っている。自分の体を見れば見るほど、摩訶不思議である。
今回は、その内、手にある五本の指と、特にその内中指について研究してみたいと思う。研究すると云っても、医学的とかデータによった研究というわけではなく、合気道の哲学や稽古との関係においての研究ということである。

以前から、指が五本あることに興味を持っていた。人間誰もが指は各五本ずつ持っているわけだから、指が五本には何か宇宙的な意味があるはずである。
宇宙の営みを形にした合気道の技を手で掛けるには、この五本の指の役割を知る必要があるだろう。

手の五本の指の中で、最近、興味を持ち、その重要性に気が付いたのが中指である。
まず、手の平と五本の指を思い切り開いて見ると、中指が五本の指の真ん中にどっかりとあることがわかる。
また、その中指が腕の中心の芯と結びついているのが見える。

また、手の平を開き、息を思いっきり吸ったり吐いたりすると、中指から発兆する気(エネルギー)は、腕の中心の芯を流れると感じる。
因みに、他の指、親指、人指し指、薬指、小指からの気は腕の中心の芯を貫かず、芯の外側を流れる。
大雑多にいえば、親指、人指し指の気や力は腕の上部と肩や頭や体の上部、薬指、小指は腕の下部、そして腰や腹に働くように感じる。

中指は腕の中心の芯を貫くが、中指にどんなに力を入れ、気を入れてもどこにも引っかからず、腕は自由に動く。他の指に力込めて手を動かすと、肩や他の箇所にぶつかる。それは肩や腰腹と結んでいるからである。
従って腕を使う場合、息で中指に気と力を入れ、中指の先を行きたい方向に向け、中指から腕の中心に気と力を通して芯をつくることが大事である。

合気道を稽古していると、四十肩とか五十肩で肩を痛める人が多いが、その一つの原因は、中指を上手く使わないことにもよるはずである。

また、中指を上手くつかわないと、腕に芯ができないから、手が折れ曲がってしまったり、脆弱な腕になってしまい、技も上手く効かないことになる。

更に、他の四本の指を十分働かすためにも、まず中指を上手くつかわなければならない。一教で小指や薬指を相手の手に絡みつかせるのも、四方投げで相手の手を掴むにも、中指に働いてもらわなければならない。