【第50回】 受け身は攻撃

合気道の稽古を始める時は、まず怪我をしないように受け身の練習をする。前受け身、後ろ受け身、そして二教や三教の関節技に耐える練習などである。受け身がある程度取れるようになり、関節技もある程度我慢できるようになると、合気道が楽しくなる。

しかし、受け身は怪我をしないようにだけとるものではない。本来は、合気道で受けを取る方は、攻撃をするわけであるから、相手が技をかけてきても、出来るだけ攻撃できる体勢、姿勢を保ち続けなければならない。安易に相手に背を向けたり、横を向いたりして、逃げないことである。攻撃の気持ちと体勢を保つことで、手足や体が柔軟で強靭になる。横を向いてしまえば、相手の攻撃を受けやすくなり、叩かれたり、腕を痛められたりする危険性ができる。もちろん、相手の最後の押さえや投げでは、きちっと受けをとらなければならない。

攻撃の体勢で受けをとるというのは、例えば、一教でも、二教でも、三教でも、攻められている手は、自分の顔の前や中心線上に置くようにし、腹は相手の腹に向け、その体制を相手の動きに合わせて、保つようにするのである。この体制を保つことによって、攻撃のダメージを最小限にできるし、体を練ることができる。

また、その体制からだと、返し技を使えるようになる。私が入門したころは、返し技の稽古も頻繁にやっていた。一教から一教への返し、二教から三教への返し、三教から三教への返し、四方投げから小手返し等々である。先輩と自主稽古をしている時は、こちらは返し技などできないのできっちりと受けを取らされ、こちらが技をかけると返されて、いつも押さえられっぱなしだったことを覚えている。

受け身を取る方がしっかりやらないと、お互いが練り合うような稽古ができない。打ちに行く場合はしっかり打ち、手を掴む場合もしっかり掴む、そして受けをしっかり取り、最後はきちっと押さえさせたり、投げられるようにしなければならない。