【第385回】 宇宙のひびきを感ずるための一考

合気道の修行の目標は、宇宙との一体化であるといわれている。宇宙の一体化とは一体化しなければ分らないわけだが、想像するに、1.宇宙の意志がわかること、2.宇宙のひびきがわかること、3.宇宙の営みと身心が一体となって機能すること、などではないかと考える。

1.の宇宙の意志は、開祖がいわれるには、宇宙楽園建設であり、宇宙はそのために万有万物を創造し、それぞれ使命を与え、その生成化育をさせている、ということであるが、その通りであると思う。少なくとも今のところでは、この考え以外に自分が何者なのか、どこから来て、どこに行くのか、を答えてくれるものはない。

3.の宇宙の営みと身心が一体となって機能するように、合気道の技の練磨をしているが、稽古を続けるに従い、宇宙の法則が見えてくるようだし、これを続ければ、宇宙の営みと一体化していく身心がつくられるのではないか、と期待している。自分ができなければ、後進がやってくれるものと期待する。

さて、問題は2.の宇宙のひびきである。科学の世界でも、すべてのものは波動であるということになっているわけだから、宇宙も波動を発し、ひびいていること間違いないわけである。だが、まだそれを感じないし、どうすればその宇宙のひびきを感じるようになるのかは分らない。

我々が修行している合気道の目標は、宇宙との一体化であるから、その宇宙のひびきがわからなければ、修行は中途半端で終わってしまうことになる。何とかしなければならない。

そこで、どうすれば宇宙のひびきを感ずるようになるのか、研究しなければならない。そのためには、まず、宇宙はひびいていると信じることだろう。このことは開祖が『合気真髄』『武産合気』でいわれているし、開祖は実際、宇宙のひびきを取り入れようとされていたように思う。

開祖は道場で神楽舞をされる際にも、宇宙からのひびきを取り入れようとされていた。そのため、開祖は非常に鋭敏であり、高圧電線の電気のひびきを感じ取って嫌がられたということだし、また常人なら感じないような地下の下水道のひびきまで感得されていたという。

宇宙のひびきを感じるためには、まずは敏感にならなければならないということである。敏感にならなければならないのは、特に、耳、皮膚、血液、筋肉、臓器、骨などであろう。

宇宙のひびきを感じるためには、これらの部位と器官のカスをとらなければならないが、合気道では技の練磨を通して、それを行なっているわけである。これからは、相手を意識するより、カスを取ることをもっと意識して、稽古をやることであろう。

宇宙のひびきを感じるためには、さらなる方法があるようだ。それは、「祈り」である。開祖も祈りはよい、といわれていた。なぜ祈りがよいのかは、教えて頂いていないが、健康によい、とはいわれていたようだ。

神道の勅(みことのり)でも、仏教の般若心経でもよいから、朗々と唱えるのがよいと思う。体全体が、共鳴体として響くようになる。このひびきによって、体(耳、皮膚、血液、筋肉、臓器、骨)が繊細に振動することで、敏感になっていくのではないだろうか。

体が敏感になれば、宇宙からの繊細なひびきが、その内に感じられるようになるのではないか、と考える。