【第349回】 宇宙の法則を身につける

合気道は宇宙のできる以前からあり、宇宙生成化育を表わす古事記の実行であるといわれている。合気道は技の練磨を通して精進するが、その技は宇宙の営みを形にしたものである。宇宙がつくられ、そして営むには、条理・法則がある。宇宙に条理・法則があるから、万有万物は平穏に存在することができるのであろう。もし宇宙の営みが不条理・無法則であったなら、例えば、春の後に夏が来ないで冬が来たり、雨が横や下から上に降るなど、我々人間は常に戦々恐々としていなければならないし、万有万物も大混乱するだろう。

宇宙は法則に則って営まれているわけだから、万有万物もその宇宙の法則に従っていかなければならない。特に人間は小宇宙とも言われるように、小さいが宇宙と似たものを沢山もっているといわれるから、宇宙の法則に逆らわず、宇宙の営みと一体化するように生きていかなければならないことになる。

合気道の最終的な目標は、宇宙との一体化であろう。宇宙と結び、宇宙の営みと同化することである。そのために、宇宙の営みを形にした技を練磨し身につけ、少しでも宇宙になろう、近づこうとしているはずである。

合気道の技を練磨するということは、宇宙の法則を見つけ、それを身につけていくことであるが、これはなかなか容易ではないだろう。容易でないというのには、いくつかの理由がある。

まず初歩の段階では、相手が倒れればよいというような、人間相手の魄の稽古をしているわけだが、これを宇宙の法則を見つける、宇宙相手の稽古に切り替えなければならないからである。稽古の目的、内容が変わるわけである。それまでの稽古の考え方ややり方を変えるのは、容易ではないはずである。

次に、技の練磨から、宇宙の法則を見つけていくのが難しいことである。これまでの先人、先輩たちは、それを後進には残してくれてないようなので、われわれが見つけていかなければならないことになる。もちろん開祖は宇宙の営みや宇宙の条理・法則を聖典に残されているが、ご存知のとおり超難解である。

なにがどうあれ、合気道を修行している者は、宇宙の法則を見つけ、身につけ、技に入れ、そして宇宙になっていかなければならない。開祖の難解な聖典を熟読し、技の練磨で、体で感じ、体で判断しながら、一つずつ法則を身につけていかなければならない。

次回はこれを具体的に説明するために、足を宇宙の法則に則ってつかうための「足づかいの法則」を書いてみることにする。