【第243回】 解く手とくっつける手 その2 「くっつける手」

前回は「手解き(てほどき)」について書いたが、今回は逆に、解(ほど)いた手をくっつける「くっつける手」について書いてみる。

手解きも稽古をしなければ容易にできるものではないことは、前回、理解できたと思うが、手解きだけでは女性の護身術にはつかえるだろうが、合気道の技としては半分できたことにしかならない。後の半分があるわけである。それが、今度は解ける手を、またご苦労にもくっつけることである。

合気道の技は手でかけるが、相手とはつねに結んでいて一体化していなければ技は自由にかからない。特に相手との接点となる手は手解きで解くが、離れずにくっついていなければならないからまた即、くっつけなければならないのである。

手を解くのも容易でないが、またくっつけるのはもっと容易でない。手解きは、女性の護身術につかえるようになるぐらい誰でもなんとかできるだろうが、くっつけるのはよほど体ができ、体を練っていないと難しいだろう。

力んだり、手を振り回したり、引っ張ったりすれば、相手から離れてしまったり、相手の手を弾いてしまうことになる。そうなれば、相手は体勢を立て直すので、またゼロからやり直すことになり、ご苦労なことになる。

解いた手を、またくっつけるためには、やはり手先と腰腹をしっかりむすび、腰腹でその手をつかわなければならない。手先から動かすと、手解きもできないし、手解きしても手があさっての方にいってしまう。すると、自分の手と腰腹の結びも、相手との結びも切れてしまうので、相手を立ち直らせてしまうことになる。

片手取り(逆半身)一教の場合なら、抑えられてない手で相手の掴んでいる手をむしり取るのではなく、掴ませている手を螺旋で十字につかってくっつけ、相手の肘のところまで相手の手に沿って接しながら、腰の螺旋で上げていくのである。肘のあたりにきたら、こちらの手は相手の手(腕に)くっついているが、相手の手は解けているので、腕を抑えて技を掛けることができるはずである。

片手取り(逆半身)から入り身に入る場合は、掴まれた手を切るように両手をつかうわけだが、切った手は切りっぱなしではなく、必ずどちらかの手が解いた相手の手にくっついていなければならない。

また、片手取り(逆半身)から四方投げに入る場合、持たせた手をくっつけたまま十字々々に反し、反転して投げに入る時に、手解きをしたところで持たれていない方の手と一緒に、剣で切り下ろすように相手の手を絞りながら倒さなければならない。

弛みができず、隙ができないように、手解きから、引き続き、どちらかの手が一瞬も離れないように、くっつけるようにしなければならない。そのためには、手先と腰腹がしっかりと結び、腰から力を出して手先を遣うようにし、手は直線的に遣わずに、螺旋で遣わなければならない。