【第169回】 足さばき

合気道の技を上手く掛けるには、そのための体が出来ていなければならないが、合気道の面白いところは、技の稽古を通して体をつくることが出来るということである。従って、技を覚えるためだけではなく、体をつくるためにも、同じ技を何度も何度も繰り返して練習することになる。特に、基本技をしっかりやれば、合気道の基本の体が出来るので、基本技は何度も繰り返してやらなければならない。とりわけ下半身に対してはそうである。

合気道の技は手を遣って掛けるが、手だけの手捌きでは技は効かないものである。体重を有効に遣ったり、地からの力を遣うには、どうしても足を上手く遣わなければならない。技は足で掛けると言ってもよいだろう。

しかし、足で技を掛けるようになるのは、そう容易ではない。手さばきは頭で考えながら出来るが、足は頭で思ってもなかなか思うように働いてくれないからである。足の動き、足さばきは体に覚え込ませ、意識しなくても出来るようにするほかないようである。

合気道の技や運動は、どれもが足さばきを遣わなければならない。つまり、すべてが足さばきの稽古になっているはずであるが、特に足さばきの稽古になると思われるもの、言葉を換えれば、足さばきが上手く出来なければ上手く出来ない技がある。それを、足さばきに重点をおいて稽古すればいいだろう。

これは私が2008年6月のトゥールーズでの講習会で「足さばき」の稽古のために行なった1時間半の稽古プログラムである。

参考文献    『合気道技法』 植芝吉祥丸著