【第117回】 宇宙の法則に則った体

合気道(武産合気)は、宇宙に結ばれる武を追及するものである。だから、「わざ」(技と業)は、宇宙の法則に則ったものでなければならないことになる。植芝盛平開祖がつくられた合気道の「技」は、宇宙の法則に則っているわけなので、我々稽古人が、この宇宙の法則に則った合気道の技を、いかに宇宙の法則に則ったようにやれるかということになる。

例えば、開祖は、「合気道はまず天之浮橋に立たねばならない」とよく言われていた。天之浮橋は十字であり、十字は宇宙でものが出来る形といわれている。従って、合気道の技が決まるときも、常に十字の形になっているはずであるから、技を掛けるときは十字にしなければならないことになる。

宇宙にあるものはお互い同士が引力(気)で結びあっている。そして、大きいものの周りを小さなものが回っており、大きいものも小さい物もそれ自身回っている。つまり公転と自転をしていることになる。

合気道の技でこの法則を遣う場合、自分が宇宙の中心に立ち、相手を回すようにしなければならない。自分が相手を回ったり、後退するのは、法則に反することになるので間違いといえる。また、体幹を「地球」とし、相手が掴んでいる手を「月」とすると、体幹と手は自転しなければならない。手が自転(回転)しなければ、相手は崩れないし、くっついてこないので、技は効かない。

公転と自転の体、十字の形、天之浮橋の体を造るには、次のような「わざ」の稽古がいいだろう。

公転・自転の稽古:
 1.片手取り呼吸法
 2.同 四方投げ(写真)
 3.同 外回転腕押さえ

十字の稽古;
 4.正面打ち入身投げ
 5.同 小手返し
 6.同 肘ぎめ
 7.座技呼吸法

天之浮橋に立った稽古:
 8.諸手取り呼吸法(一人、二人掛け)
 9.同 隅落とし

この他にも、無限と思える法則が宇宙にはあるはずである。その法則を一つでも多く見つけ、そしてそれを「わざ」に取り入れていくのが合気道(武産合気)の稽古であろう。