【第114回】 息づかい

合気の体が出来ても、体が自由に機能しなければ技は効かない。体が機能するためには、息の使い方、呼吸が大事である。体は呼吸に合わせて動かさなければならない。初心者は体の動きに合わせて呼吸するので、力が出せないし、息が続かず、息切れしてしまう。

合気道では息を吸うこと、息を腹に入れることが大事である。息を吸っている間、体は柔軟になる。逆に、息を吐くと、通常、体は硬くなる。また息を吸っていると、相手にくっ付き易くなる。逆に、息を吐くと、相手と離れたり、弾き飛ばすことになる。勿論、修行を積めば、息を吐きながらでも体を柔らかくし、相手にくっ付く事も出来るようになる。

息を吸うことで掛かることが分かり易い技には、次のような稽古がある。息を吸うことで、相手を吸収し、相手と一つになり、相手を自由にし易くなることが実感できると同時に、この技の形を稽古することによって、息を吸う練習にもなるだろう。

1.体の各部位を伸ばす体操。(息を吸いながら伸ばすことが重要)
2.正面打ちと横面打ち
3.片手取り四方投げと"腕首がらみ"
4.正面打ち入身投げ
5.胸取り二教裏
6.胸取りからみ技
7.後両手取り:三教、呼吸法、四方投げ
8.座技呼吸法
9.終末動作:背筋伸ばし

「わざ」は息に合わせなければ上手くいかない。息が合っていない体の動きは、死に体となるからである。そのためには、肺活量が多くなければならない。呼吸横隔膜と尾?骨横隔膜が充分働くように、呼吸の訓練も必要であろう。