【第3回】 体の表側を使う

日常の動きや通常の稽古はよほど意識してやらないと体の裏を使ってしまう。
体の表からの力は、裏からのものより強力である。
体の表側とは、四つんばいになって日が当たる方であり、外側の部分である。

通常、体の裏に力を込めることはできるが、表を鍛えるのは難しい。
手と腕の表側を鍛えるには、柔術でいわれる「鷹の爪」や「朝顔の手」がいい。

「鷹の爪」は、5本の指先の第一、第二関節を内側に曲げ、各90度になるようにする。この形を取ることによって手から腕、背中まで体の表側に力が流れ、また、そこから指先に力が集まってくる感覚を得る。「朝顔の手」からも同様に、表の感覚を得れる。また、中国武術で昔から行われている鍛錬法「タントウ功」があるが、これも体の表側を鍛える鍛錬法であると思える。このように昔から続いてきた鍛錬法や形の多くは体の表を鍛えたり重要性を教えるもののようだ。

合気道で体の表側(背中や腰)を鍛練するのに最も適している技は後両手取りの技である。この表の力は想像以上に強力なものであるが、足の運び、腕の上げ方や返し方、相手との密着など間違うと相手に引き倒されたり、首をしめられてしまうので、気をいれてやらなければならない。